熱中症にならないためには、エアコンや扇風機などを効果的に使ったり、特に日中、無理な運動や作業はしないなどといった対策がありますが、一番の対策はやっぱり「毎日の食事」。熱中症に限らず、毎日健康的な生活を維持していくためには、バランスの取れた食生活を心掛ける必要があります。今回は、その中で特に熱中症予防対策に効果的な栄養や食材についてご紹介します。


熱中症予防にはどんな栄養素、食材が望ましいのか

汗には「水分」をはじめ「塩分」「カリウム」などのミネラル成分が含まれていますが、こうした要素はすべて、健康な体を維持していくために必要不可欠なモノ。そのため、発汗した後はこれらの栄養素を効果的に補給する必要があると言えます。

具体的に言えば、まず「水分」が必要になります。特に高温かつ湿度が高い環境に長時間いる場合には、こまめに水分を摂取する必要があります。

その上で、さらに必要になるのはミネラルを中心とした栄養素。特に「カリウム」「ビタミンB1」「クエン酸」「マグネシウム」「ナトリウム」といった5つの栄養素が、熱中症予防対策にとって、とても重要な役割を担います。

そして、こうした栄養素を多く含む野菜やお肉などを意識的に摂ることによって、普段から「熱中症になりにくいカラダづくり」を意識することとなり、熱中症予防の一番の特効薬となるでしょう。


覚えておきたい熱中症対策で効果が期待できる栄養素

具体的に、熱中症予防対策に効果的な栄養素について、先ほど紹介した5つの栄養素の効果や欠如した場合のリスクについておさらいしてみましょう。

●カリウム

細胞内に多く含まれる栄養素で、過剰なナトリウム摂取による排泄をサポートすることによって、高血圧を防いで血圧を下げるなど、血圧状態を一定に保つ効果が期待できます。一方、カリウムが体外に排出されてしまうと、細胞自体が脱水症状を引き起こすリスクが高まります。そうなると「内臓の機能障害」「体温調節機能の低下」「筋肉の痙攣」といったような症状が現れ、熱中症の悪化をさらに進めてしまう恐れがあります。

●ビタミンB1

水に溶ける水溶性ビタミンの一つで、糖質を分解してエネルギーを生み出したり、皮膚や粘膜、さらに脳神経系を正常の機能させる効果も期待できます。ビタミンB1が不足するとエネルギーに必要な糖質を分解できなくなり、疲労物質が蓄積されます。そのため「食欲不振」「全身の倦怠感」をはじめ「手足のむくみ・しびれ」といった症状が現れる可能性が高まります。

●クエン酸

酸味成分の一つで、「疲労回復」「血流改善」「ミネラルの吸収促進」「美肌効果」「痛風予防」などの効果が期待できます。特に疲労の原因の一つとされる「乳酸」の発生を抑制する効果があることで有名です。クエン酸を摂取することによって、夏バテなどによって疲弊している内臓機能などの働きを回復し、熱中症になりにくい健康的な体を維持することが期待できます。

●マグネシウム

「カルシウム」「リン」と共に、骨を形成するミネラルの一つ。骨に多く含まれるマグネシウムが分離することで「神経の興奮を抑制」「糖分をエネルギーに変換する際のサポート」「血圧の維持」などの効果を発揮すると言われています。特に夏場、汗と共に体外に排出されやすい物質なので、熱中症に伴って「筋肉痛」筋肉の痙攣」なども発症しますが、これもマグネシウム不足が原因とされる一因です。

●ナトリウム

食塩を構成するのは、「塩素」とこの「ナトリウム」。ナトリウムによって「体内水分量を適切な状態に調節」「神経・筋肉を正常に動かすためのサポート」といった、生命の維持に欠かせない役割を担います。


猛暑をしのぐために積極的に口にしたい食材

このように、熱中症予防対策にとって、先ほど紹介した5つの栄養素はどれも必要不可欠なものですが、実際にどのような食材を選べば良いのか、素人にはなかなかわかりません。そこで、5つの栄養素が多く含まれる代表的な食材をご紹介します。

●カリウムが多く含まれる食材

  • 野菜類
  • 海藻類
  • 果物類(バナナ・メロン・アボカド等)
  • 豆類(ソラマメ・あずき等)
  • イモ類(じゃがいも・里芋等)

上記を組み合わせながら、塩分や水分を同時に摂取できるみそ汁にして食べると、効率よく摂取できます。

●ビタミンB1が多く含まれる食材

  • 豚肉やレバー
  • 玄米や胚芽米
  • ウナギ
  • 海藻類
  • 大豆など

特に豚肉やレバー、ヌカがついた玄米などはビタミンB1が豊富にあるのでおすすめです。

●クエン酸が多く含まれる食材

  • 柑橘類
  • 梅干し

といったような、酸っぱい風味がある食材に多く含まれています。

●マグネシウムが多く含まれる食材

  • アーモンド(種実類)
  • 魚介類(干しエビ、かたくちいわし等)
  • 海藻類(アオサ、のり等)
  • 野菜類(切干し大根、枝豆等)
  • 豆類(大豆)

など、身近な食材に広く含まれているので、比較的気軽に摂取しやすい栄養素です。

●ナトリウム

塩やしょうゆ、みそ・ソースなどの調味料を中心に手軽に摂取できます。基本的に日本人は塩分を多く摂取する傾向があるので、普段はそれほど意識して摂取する必要はありません。逆にナトリウムを過剰摂取してしまうと、高血圧の原因にもなりますので、若干控えめに摂取することが良いようです。

このように熱中症対策に必要なのは、水分だけではなく、ミネラル類を中心とした栄養素の摂取も大切です。

こうした栄養素は、身近な食材に多く含まれているので、水分と共に普段から必要な5つの栄養素を意識しながら、規則正しい食生活を送るようにしましょう。

 

また、夏バテ予防、夏バテ回復に効果的な料理については「残暑対策は食事で改善 夏バテ予防、夏バテ回復に効果的な料理」を、熱中症予防に効果が期待できるアイテムを知りたい方は「熱中症予防に効果が期待できるドリンク10選」「熱中症予防に効果的な飴、タブレット10選」などもあわせてご確認ください。

*本内容は記述時点で入手している情報をもとに執筆された原稿であるため、その内容の実現や確約、正当性をお約束する趣旨のものではありません。あらかじめご了承ください。


参照、引用元

グリコ 栄養成分百科

ヘルスケア大学 熱中症対策に効果的な食べ物とは

タニタの健康応援ネット からだカルテコラム「熱中症を防ごう!」