熱中症にならないためには、こまめな水分や塩分などのミネラル補給と共に、適温に室温を保つことや身体を冷やすことが重要です。最近では「ひんやりタオル」など、保冷剤のような効果を持つタオルなどが、夏のシーズン、ドラッグストアなどの店頭で数多く販売されていますが、こうしたグッズは熱中症予防対策にどれほど効果があるのか?チェックしてみました。


そもそも熱中症予防でどの部位を冷やすべきか?

熱中症を予防するためには、常に体温を一定の状態(平温)に保つ必要があります。そして気温の上昇する環境の中で平温を保つために、人間は汗をかくことで体温の上昇を抑えるような仕組みになっているわけです。しかし、汗をかいても平温を保つことが困難な状況に陥ると、熱中症のリスクが非常に高まります。

そこで、できれば大量の汗をかかなくてもすむように、事前に必要個所を冷却しておくことが有効であり、望ましいと言えます。では、具体的に体のどの部位を冷やせば良いのでしょうか?

キーワードは「太い血管が皮膚表面近くを通っている場所」。体中に張り巡らされている血管を冷やせば、体内温度を効率的に冷やすことが可能と言われています。さらに様々な血管のうち、太い血管を集中的に冷やせば、そこから冷えた血が末端にある細い血管にまで流れていき、そして、効果的に冷やすことができます。

また太い血管の通っているところを、外部から冷やす場合には、できる限り皮膚に近いところを通っている太い血管のほうが、冷却効果も高まります。

以上の条件を組み合わせると、体内で冷やすべき部位として挙げられるのは

●首筋:首の両側を通っている頸動脈
●腋の下(=腋窩動脈・えきかどうみゃく):腋の下の頚動脈のこと
●足の付け根:鼠径部・大腿動脈

になります。

ただしこの中でも、腋の下や足の付け根に関しては、普段から冷やし続けるのは難しい場所にあります。そこで脳の機能を守る意味でも、脳に近い首筋を冷やすことが最も手軽で、かつ効果的な熱中症予防対策になります。


適温、冷やす時間は?

それでは実際に冷やす場合、冷やす適温や時間はあるのでしょうか? 「適温」と「冷やす時間」について解説いたします。

まずは「適温」について。例えば冷たいシャワーなどを浴びてしまうと、皮膚表面を過剰に冷やしてしまうことになります。そして、身体は「『低体温』になることを予防するため、体温を上昇させよう」と働き出します。そのため、濡れタオルを使う場合も、氷水のような冷し過ぎたものを使うのではなく、あくまで普通の水で濡らした程度のモノを用いて先ほど紹介した首筋辺りに当てるだけでも十分、冷却効果があります。

また氷嚢や氷枕のようなものを使用する場合には、できればタオルや薄手のガーゼなどを巻くことによって「冷やし過ぎ」を抑えるように心がけましょう。

一般的なひんやりタオルの場合、冷やしすぎない程度の温度に機能設定されているため、基本的には「冷し過ぎ」を気にせずに使用できます。

次に「冷やす時間」についてですが、こちらに関しては「この時間が理想」という明確な時間は特にないようです。基本的には、自分が「暑い」と感じる間はひんやりタオルを首に巻き続けて、ぬるくなったと感じたら随時、ひんやりタオルを水に濡らして使いましょう。正確に体温管理をしたい方には、体温計で定期的に体温をチェックすることをおすすめします。

先ほど触れたように「冷し過ぎ」さえ気を付けていれば、冷やす時間に関して、その時その時の判断で設定しましょう。


ひんやりタオルの代わりとなるものは?

ひんやりタオルは、一般的に「冷感機能素材」を使用しています。

人間は汗をかきますが、その際水が蒸発する際に発生する「気化熱」が生じ、それによって身体から熱を奪い、そして身体を冷却することができます。ひんやりタオルは蒸発時間を調整しながら、気化熱を効率よく発生させる仕組みになっているため、汗をかくと同様の冷却効果を発揮できるのです。

また、水にちょっと濡らして首元にまくだけ、という圧倒的な使い勝手の良さも特徴です。室内だけでなく外出先や作業場などの屋外でも気軽に使えて、なおかつ冷却効果を長時間、持続できるのもひんやりタオルならではのメリットです。

最近では「UVカット」や「抗菌」など、冷却以外の機能も集約されるようになったり、形状も巻きやすい薄手のモノから短いモノ、ロングタイプまで様々な形状のタオルなど、選択肢も増えましたので、ご自身の体型などを考慮しながらベストなモノを選んでみてください。

もちろん、ひんやりタオル以外にも、首筋の血管を冷やすためのアイテムはあります。例えば「アイスノン」や「氷嚢」といった保冷剤タイプのものですが、こちらを使用する場合はタオルなどで覆ってから使うと、冷やしすぎを防ぎつつ、長時間に渡り冷却効果を発揮できるでしょう。

もっと手軽に冷やすのであれば、「濡れタオル」をビニール袋に入れて使用したり、冷えたペットボトルのドリンク、「冷えピタ」等の冷却ジェルといったものも、ひんやりタオルに比べると効果は若干薄まりますが、何もしないよりも効果的です。

大事なのは、首筋など太い血管を冷やすことと、一方で冷やしすぎないことなので、その2つが実現できれば、手段は何でも構いません。

熱中症になる前に「暑いな」と思ったら、普段からこうした取り組みを心掛けることをおすすめします。

暑さ対策に有効なアイテムを知りたいという方には「熱中症を凌ぐ 暑さ対策グッズ10選プラスα」もぜひ、あわせて読んでみてください。またこの夏、現場はもちろん、コンシュマー向けとしても注目を浴びた『空調服』については「類似品に注意! オリジナルの空調服にはどんなタイプがあるの?」で紹介しているので、確認してみてください。

 

*本内容は記述時点で入手している情報をもとに執筆された原稿であるため、その内容の実現や確約、正当性をお約束する趣旨のものではありません。あらかじめご了承ください。


参照、引用元

日常ぷらすα

しろくまのきもちの勉強会

健康診断と人間ドックドットコム