野球やサッカーをはじめ、球技・陸上競技・水泳など多種多彩なスポーツが、1年を通じて開催されることで、私たちを感動させてくれます。2020年に開催される東京オリンピックでは選手に対する暑さ対策は話題となっていますが、いずれにせよ、真夏の過酷な環境下でも、アスリートたちはベストパフォーマンスを発揮しなくてはなりません。一般人なら動くだけでも大変なこの時期、アスリートたちはなぜあれだけのパフォーマンスを発揮できるのでしょうか? その理由を探ってみます。


“暑さによる悪影響を最小に抑える”というアスリートの暑さに対する考え方

アスリートであったとしても私たちと同じ人間であり、基本的な肉体の構造は変わりません。

特にマラソンのような持久力を必要とするスポーツの場合、真夏のように高温の環境下で2時間以上走り続ければ当然、冬場に比べて体力の消耗が激しくなるのは一般人同様です。それでもあれだけの高速走行を2時間以上に渡って維持できること、さらには夏季に好タイムを示すアスリートがいるのは日ごろから肉体を鍛え、暑さ対策も実施しているからに他なりません。

暑さ対策に対する考え方については、アスリート特有の考えがあるようです。

例えば夏の暑い時期でも当然、毎日の練習は欠かせませんが、そこで懸念されるのが練習中の熱中症です。体調を崩し、その後のコンディション回復に時間を割かれることによって、練習プランが大きく崩れてしまうリスクがあります。そこでアスリートの暑さ対策の基本は、熱さを我慢して耐性を強化するのではなく「暑さによる悪影響を最小化するための対策を考え、実践する」というものになります。

暑い中でもできる限りベストコンディションを長時間維持するためには、スポーツ医学的な見地から「水分・ミネラル補給」「休息(アイシング)」のバランスを、自分にマッチしたスタイルで実践していくことです。

その点に関してはアスリートだけではなく、一般の方にとっても通じることです。適度な水分やミネラルを補給し、休息をとることが重要であり、アスリートの暑さ対策は一般人にも大いに参考となるでしょう。


水分の摂り過ぎに注意! 一般人がアスリートから学ぶ暑さ対策

では、実際にアスリートがどのような暑さ対策を実践しているのか、チェックしてみましょう。

まず「水分補給」に関して、2015年にカリフォルニアで開催されたスポーツ医学学会での成果発表によると、「アスリートは、のどが渇いたときだけ給水すべき」という新しいガイドラインが出されました。

水やスポーツドリンク等、塩分比率の低い水分を飲みすぎてしまうと「低ナトリウム症」を引き起こすリスクが高まってしまいます。基本アスリートは体重の約3%を上限に水分を失っても、安全に競技を行えるという考え方で、のどが渇いたときにだけ飲むようにすれば、脱水を起こすことはないとのことになっています。

ただし、のどの渇きを感じるタイミングは人それぞれなので、のどの渇きを覚える少し前くらいを目安に補給するのが、一般の方にとってはベストかもしれません。

次に冷却(アイシング)に関しては、熱対策としてアイスバッグ(ビニール袋に氷水を入れたもの)を首筋や腋の下などに当てて、冷却したり、アイシングスプレーや冷却シートなどのようなもので代用してもOKです。

また運動後、疲労回復のために軽いストレッチや運動を行いながら筋肉をクールダウンさせる方法は、アスリートの間では広く実践されています。その上で、アイシングを行うことによって、より高いクールダウン効果が期待できるようです。

ただし大事なのは、冷やしすぎないこと。冷水に浸したタオルを軽くしぼり、全体的に広く冷やすことによって、徐々にクールダウンさせていきます。それにより、筋肉の回復を図れるそうです。


おすすめはシャワーを使った「冷水浴」 アスリートを参考にした暑さ対策グッズ

アスリートは普段からアイシングなどによる暑さ対策や筋肉の冷却を実践しています。

例えば、国立スポーツ科学センターでは、風呂の湯に炭酸ガスを飽和状態になるまで溶け込ませた「炭酸泉」を導入することによって、効果的に体を冷やし、疲労回復を図っているそうです。

ただ一般の人が自宅で炭酸泉を用意するのは、現実的ではありません。

そこでおすすめなのがシャワーによる「冷水浴」。夏場の時期、40度以下のぬるめの湯船に3分程度浸かり、その後冷水シャワーを浴びる。この行為を2~3回繰り返すことによって、アイシング効果を得られるといいます。

さらに日常的にアイシングする際、便利なのが先ほど触れたアイスバッグ。アイスバッグは0度以下になることがないので、冷やし過ぎを防ぎつつ、筋肉や関節などの幅広い部分を広く包み込むことができます。首筋や腋の下など太い血管が皮膚のすぐ下を通っている部分を中心にアイシングすることで、身体を冷却することができ、暑さ対策になります。

肩やひじ、足首などの関節部分に痛みを感じた場合には、ここにもアイスバッグを巻き付けることによって、疲労回復を促す効果を得られます。

アイスバッグ自体はスポーツ用品店やドラッグストアだけでなく、ネット販売でも購入でき、そこに自宅で作った氷や、コンビニなどで売られている大きめの氷などを入れて簡単に作ることができますので、おすすめです。

ちなみに保冷剤などを直接、間接や筋肉などに当ててしまうと「冷やし過ぎ」となり、返って障害を残したり、逆効果になってしまう可能性があるため、おすすめできません。

他にもアイシングスプレーなどの冷却グッズも活用できますが、一番手軽で、安く利用できるアイスバッグが一般の方にとって、最適な暑さ対策グッズになるのではないでしょうか。

 

なお、アスリートではない一般人が簡単に暑さを凌ぐためのグッズを「熱中症を凌ぐ 暑さ対策グッズ10選プラスα」で、熱くなってしまった身体を効果的に冷やす方法を「<熱中症予防>おでこは効果なし? リンパを冷やし体温を効果的に下げる」で紹介していますので、あわせてご覧になってみてください。また、夏バテの要因には「紫外線」も考えられます。紫外線の被害については「もう夏バテしない! 『紫外線対策』が猛暑を乗り切る力になる」で触れていますので参考にしてみてください。

 

*本内容は記述時点で入手している情報をもとに執筆された原稿であるため、その内容の実現や確約、正当性をお約束する趣旨のものではありません。あらかじめご了承ください。


参照、引用元

リンク・デ・ダイエット 世界の最新健康・栄養ニュース

ランネット ランナーの知恵袋

日経スタイル 五輪選手に学ぶ、効果的に体を冷やす方法