猛暑に見舞われた今年の夏。汗を拭う人並みの中で、後背部にファンが取り付けられたユニークな服を着て涼しげに過ごす人を目にしませんでしたか?

「快適現場プラス」の編集部が熱中症対策、暑さ対策で取材を進めていたところ、たどり着いたのがこの「空調服」というアイテム。どうやら炎天下においても屋外での作業を求められる建設現場などではすでに導入が進んでいるようなのですが、この夏に関して言えば、「快適現場プラス」の編集部員も、渋谷の交差点、地下鉄のフォームなどで、おそらくプライベートでこのアイテムを使用しているであろう方を目撃しています。このユニークなアイテム、いったいどんな原理で冷涼感を実現しているのか。株式会社 空調服への取材をもとに、その仕組み、さらには意外なシーンでも利用できる、豊富なラインアップまで伺ってみました。

 

市場に数ある「空調服」のなか、株式会社空調服の製品こそオリジナルであった

「空調服」について調べてみると、2017年は特に、TVの報道番組や情報番組、さらにはグッズ系専門雑誌などでもこのアイテムについて大きく取り上げられたことなどもあり、Webメディア上でもにわかに「これ、何?」「すごく使い勝手が良い」と盛り上がっているようです。購入者による個人ブログやSNSでの紹介にとどまらず、大手Q&Aサイトでは、「メンテナンス方法を教えて」「いろんな会社から出ているけれど、どれが良いの?」と、「空調服」が世間に少しずつ浸透していることがわかる質問もみられます。

 

これら数ある情報を「快適現場プラス」の編集部が慎重に精査した結果、次の事実が明らかになりました。

  1. 「空調服」とは株式会社空調服(および株式会社 セフト研究所)の商標、登録商標であること
  2. 「空調服」には株式会社空調服(および株式会社 セフト研究所)の特許および技術を使用した独自の製品であること

この結果は正直なところかなり意外でした。と言うのも、「空調服」のキーワードで検索した際、同じく「空調服」という名称を使用して類似製品を販売している会社(販売店)は少なくないからです。

商標およびその技術が株式会社空調服に帰属していながら、「空調服」の名称で類似製品が多く市場に出回っているのは、それだけこのアイテムのニーズがあることの裏付けではありますが、この記事の中では正真正銘のオリジナル、株式会社空調服が販売する「空調服」について紹介したいと思います。

 

暑さをしのぐ空調服とは、どんな原理なのか?

打ち水をする様子

SNS上などで着用者が「涼しい」と評価する「空調服」、一見暑苦しそうな作業服に見えるこのアイテムはいったいどんな原理で清涼感を生み出しているのでしょうか。Web上などでも「空調服」とは「電動ファン内蔵上着」の商品名との説明がありますが、その名の通り、後背部の両脇にあたる部分にファンが取り付けられています。

ファンから排出される冷たい風に身体が接して涼しくなるのかというと厳密には違うようで、「空調服」の仕組みのキモは“気化熱”にあります。

気化熱という言葉でピンと来ない方は、打ち水を思い出していただけると分かりやすいかもしれません。液体が気体に変わることを気化と言いますが、気化には蒸発する際に周りの熱を吸収する、液体が触れた部分から熱を奪っていく特性があります。つまり、熱せられた路面などに巻かれた水は、気化(蒸発)とともに、熱を奪っていくために涼しくなるのです。

実は人体にもこれに似た機構が備わっています。それが汗です。身体が熱くなると人は汗をかきますが、これは打ち水同様、汗を体外に排出し、その汗を蒸発させることで身体を冷やそう(=体温のバランスをとろう)としているわけです。「空調服」はこの発汗作用に着目し、作業着内にファンで外気を取り込むことで、汗を気化させやすい環境を作り出しているのです。

この仕組みの利点として、着用者の発汗作用を利用するため、クーラーの適温設定などと異なり、冷えすぎることはなく、常に快適な状態を保てることになります。

 

物流現場からカジュアルシーンまで。こんなにある空調服のラインアップ

「空調服」が周囲の環境ではなく、着用者個人を適温に保ってくれるというメリットは様々なシーンで活用できます。例えば、取り扱う製品の性質上、温度を変えられない場所、高温の環境下での作業を強いられる場所、また扇風機やエアコンなどの風が作業に影響を及ぼす場所では重宝されそうです。

そのため、「空調服」には、2つの電動ファンを取り付けるという基本スペックは踏襲しつつ、各シーンに沿った仕様を施したラインアップを年々広げています。今回ははその一例をご紹介したいと思います。

 

▽ 空調服(レギュラータイプ)

空調服(レギュラータイプ)

ファンの最大空調能力は500kcalシリーズの場合、服の中に毎秒約30リットルの外気が取り込まれます。大容量バッテリーであれば最大出力での連続使用でもおおよそ8時間稼働する。

 

▽空調服(高視認性タイプ)

空調服(高視認性タイプ)

素材に「JIS T 8127高視認性安全服」として求められる厳しい品質基準に適合した蛍光生地と再帰性反射素材を使用。夜間の交通整理などで対車両事故のリスクを低減することを目的としている。

 

▽ 空調服(物流・運送業〜スポーツ・アウトドア仕様タイプ)

▽ 空調服(物流・運送業〜スポーツ・アウトドア仕様タイプ)

長袖を推奨していない物流や運送業界などで好評のタイプ。エアコンテック素材で透湿性・撥水性に優れており、アウトドアやスポーツシーンでの利用を目的に購入する方も多いのだとか。

 

▽ 空調服(ミリタリータイプ)

空調服(ミリタリータイプ)

生地に「綿」100%素材を使用。吸湿性がよく、着心地、肌触りにも優れています。そのスタイリッシュな見た目から、カジュアルシーンで着用されることが多いアイテム。男女兼用。

 

その他、様々なシーンに応じたユニークな製品も用意しているようなので、詳しい情報は株式会社空調服の製品紹介ページで確認してみてください。

 

なお、この記事を読んで空調服に興味を持った方は、下記の参照サイトもあわせてご確認ください。

株式会社 空調服ホームページ

「現場を快適にする「空調服」が地球温暖化防止活動環境大臣表彰を受賞」

「熱中症を防ぐ「空調服」を支える技術 “生理クーラー理論”とは」

暑さ対策で効果てきめんの空調服が地球環境を救う?

類似品に注意! オリジナルの空調服にはどんなタイプがあるの?

 

*本内容は記述時点で入手している情報をもとに執筆された原稿であるため、その内容の実現や確約、正当性をお約束する趣旨のものではありません。あらかじめご了承ください。