昨今の企業活動においては、「環境対策」「温暖化対策」が当たり前のように求められ、その活動の質および量は、企業のブランドイメージに直結するようになったといっても言い過ぎではないでしょう。この流れは2016年に発効した「パリ協定」により世界的な潮流となっており、米国の離脱などのイレギュラーもありましたが、地球環境の保全を考えた企業活動は世界のスタンダードになりつつあります。

このような流れから、地球温暖化防止に向けた活動や製品の開発などは、国や団体、メディアが表彰するなどされ、世界的な感心を高め、より幅広い運動にしていこうという機運が高まっています。日本においては、「京都議定書」発効の翌年、平成10年より環境省が行っている「地球温暖化防止活動環境大臣表彰」がその代表的なものです。

今回は「地球温暖化防止活動環境大臣表彰」を受賞したこと契機に、あらためて株式会社空調服が提供する「空調服」の秀逸な点を紹介したいと思います。

そもそも「地球温暖化防止活動環境大臣表彰」とは?

地球温暖化防止に向けた活動は、現在では企業のみならず民間や地域自治体、官公庁、教育・研究施設など、あらゆる現場で取り組まれています。そんな活動を推進する一環として、地球温暖化防止に功績があった個人、団体に向け、毎年「地球温暖化防止活動環境大臣表彰」がなされています。

表彰の対象になるのは、次の5つの活動です。


①技術開発・製品化部門

L2-Tech(エルツーテック)(先導的低炭素技術)、省エネ技術、新エネ技術、省エネ製品、省エネ建築のデザイン等、温室効果ガスの排出を低減する優れた技術の開発によりその製品化を進めたこと(商品化されていないものを含む。)に関する功績

※L2-Tech(エルツーテック)とは、Leading and Low-carbon Technologyとして、平成26年3月に環境大臣が打ち出した概念。特に先導的な低炭素技術であって、今後の導入普及によって社会全体で大幅な省エネ(CO2排出削減)を実施することが見込まれるもの。


②対策技術先進導入部門

コージェネレーション、ヒートポンプ、新エネ製品、省エネ製品、省エネ型新交通システム、省エネ建物等、温室効果ガスの排出を低減する技術や製品の大量導入・先導的導入に関する功績。


③対策活動実践・普及部門

地球温暖化防止に資するライフスタイル実践・普及活動、地域における効果的な節電に関する実践・普及活動、植林活動等、地球温暖化を防止する活動の実践・普及等継続的な取組(活動実績が概ね5年以上の継続性を有すること。または、過去の実績は短期間でも将来、持続的な発展が期待される活動であること。)に関する功績。


④環境教育活動部門

地球温暖化について教育資料の開発、情報の提供、学校や市民、企業内における教育活動や普及・啓発等継続的な取組(活動実績が概ね5年以上の継続性を有すること。または、過去の実績は短期間でも将来、持続的な発展が期待される活動であること。)に関する功績。


⑤国際貢献部門

地球温暖化防止に資する技術移転・指導、教育普及活動、国際会議での貢献、海外での植林等、国際的な地球温暖化防止対策活動に関する功績。
出典)環境省『平成29年度地球温暖化防止活動環境大臣表彰の募集について』


以上の部門において、顕著な功績のあった個人、または団体(自治体、企業、NGO、学校等。共同実施も含む)および、上記の活動において連携や支援を行っている個人または団体を表彰対象としています。

そんな中、現場作業を快適にする「空調服」を開発した株式会社セフト研究所が、平成29年度地球温暖化防止活動環境大臣表彰を受賞しました。

(関連記事)暑さ対策で効果てきめんの空調服が地球環境を救う?

 

省エネ、省コスト、カーボンオフが一目瞭然! 「空調服」はこんなに凄い!

「空調服」が地球環境にもやさしい設計であることは以前にも上記の記事で紹介しましたが、表彰されるほどの効果があるのか。ここからは、より具体的にみていきたいと思います。

空調服は、人体に備わる体温調整機能である「生理クーラー理論」に基づいて開発されたファン付き作業服で、エアコンが使用できない作業現場などでの熱中症対策に抜群の効果があります。作業者の身体的な負担の軽減が見込め、作業効率が大幅に向上するなど費用対効果も抜群ですが、外気を取り込み、汗を蒸発させる気化熱で体を冷やすことで、稼動時における排熱が非常に少ないのが特徴です。そのため、エアコンを使う場合と比べ、相対的にCO2排出量を大きく減らすことができます。

では、実際どれくらい省エネで安く、排出量も少なくなるのでしょうか。ここでは次のような例を挙げて、その違いを見てみましょう。

空調服の導入した場合のシミュレーション例

1,000㎡(31m×32m相当)の面積で、特に大きな発熱源が無く、1回/h換気を行っている工場に50人が作業していると仮定した場合。

冷却装置 ヒートポンプエアコン 空調服
初期投資額 1,810万円 150万円(50人)
周囲への排熱量
(夏季最大)
175kW(エアコン室外機排熱) 8.5kW(人体発熱)
機器発生排熱
(夏季最大)
30.7kW(エアコン圧縮機、ファン分) 0,005kW(ファン、バッテリー分)
月間電気代(8月分) 26.1万円 1,125円
CO2排出量(8月分) 7.1t-CO2 0.03t-CO2

以上のような条件で比べると、初期投資のコストや周囲への排熱量はヒートポンプエアコンと比べ、空調服はおよそ1/10にまで削減できます。また、機器が発生する排熱量やCO2排出量、ランニングコストにおいては1/200以下にまで減らすことができるのです。

(関連記事)1着あたりの1か月のコストは約50円「空調服」が真夏の電気代を抑える

 

まとめ

もちろん作業場の広さなど、現場環境によって違いはでてきますが、その差は歴然としたものがあるといえます。このような点を見る限り、表彰されるのも納得ですね。

現実問題として表彰されるような取り組みを行うことは難しいかもしれませんが、環境保全のための活動は小さな積み重ねが大切です。環境にやさしい製品を使うことでも寄与することはできますし、自分たちにできることをコツコツと行っていきたいですね。

参照元
環境省「平成29年度地球温暖化防止活動環境大臣表彰について」
環境省「平成29年度地球温暖化防止活動環境大臣表彰趣旨」