現場で働く皆様は、仕事で車を使われる方も多いかと思います。日々使う車のガソリン代をまとめると結構な額になりますので、企業にとって燃費の問題は常に意識される部分です。また、企業は環境へ配慮することが当たり前の時代です。車の排出するガスやCO2が環境に与える影響についても意識して対策する必要があります。

燃費を改善しながら環境へも配慮する……。その為に提唱されているのが「エコドライブ」の活動です。

エコドライブ活動って何?

環境に配慮して自動車を運転する事、エコドライブに取組みやすい社内環境をつくり、継続的に実践していく活動の事を「エコドライブ活動」と言います。

エコドライブ活動には様々なメリットがあります。燃費の改善、環境への配慮はもちろんの事、活動の一環としての車両管理によって車の管理ルールが徹底され、車両を長く有効に活用する事ができるようになります。

また、燃料使用量詳細の把握や運転手への意識付けによって、効率の良い自動車運用ができるようになります。一説ではエコドライブを実施することによって交通事故件数が49%減るとのデータもあり、交通事故の低減にも繋がります。

さらには、「ISO環境シリーズ」、「エコアクション21」、「グリーン経営認証制度」などのエコ関連の認証制度へ登録を進める事で、企業の社会的信用を高める事にも繋がります。

 

様々なメリットがあるエコドライブ活動ですが、実際にエコドライブ活動を進めてゆくにはどのようなことから取り組んでゆけばよいのでしょうか。

エコドライブを推進するには?

エコドライブ活動を進めていくには、焦りは禁物。きちんと順を追って進めていくことが大切です。下記のようなステップを踏みながら少しずつ進めていきましょう。

・ステップ1 エコドライブ活動推進の社内体制整備と目標設定

組織的なエコドライブ活動のスタートは、立案者が活動への熱意を持つこと。そして、それを従業員へ示すことから始まります。従業員と共有できる目的・目標を設定し、エコドライブ活動についての意志表示をしましょう。

・ステップ2 正確な燃費データ構築

効果の見えない活動は実感を伴わず、成功しません。「効果」とは過去と現在を比較し、進歩があった時に見えるものです。まずは正確な現状の把握が必要です。具体的かつ正確な燃費データの集計を目指しましょう。

・ステップ3 エコドライブに関する教育を従業員に実施

せっかく集計した燃費データをそのままにしておいては意味がありません。燃費データを元に改善点を考え、従業員に伝えましょう。また、後述の「エコドライブ10のすすめ」を実践するよう指導していきましょう。また、燃費について厳密になりすぎず、楽しく明るく振り返れる場を用意しましょう。こういった活動を通して、従業員のエコドライブへの意識を高めていきましょう。

・ステップ4 従業員によるエコドライブの実践

エコドライブ教育を通して、燃費の良い運転の仕方やエコについての考えが浸透し、現場が実践する「やる気」を持った時、初めて効果的なエコドライブが実施されます。繰り返し意識付けを行っていきましょう。

・ステップ5 エコドライブ活動による目標達成

現場の頑張りと実践があって初めて効果は出ます。エコドライブの目に見える効果は、燃費の向上(=CO2削減、経費削減)や交通事故の削減です。効果の有無は、1~4までの手順にかかっています。継続的にチェックを実施して、効果の質を高めていきましょう。

エコドライブ活動全てに言えることですが、現場の状況を確認しながら、焦らず着実に進めることが重要です。現場のモチベーションは活動の要となります。常に現場のモチベーションアップを意識して進めていきましょう。

また、平成24年にエコドライブ普及連絡会によって作られた「エコドライブ10のすすめ」は、エコドライブを具体的に実施する為の心得が記載されています。これを印刷して運転者に配布するなどして、効果的な実践を促してみてはいかがでしょう。

「エコドライブ10のすすめ」

1.ふんわりアクセル「eスタート」

発進するときは、穏やかにアクセルを踏んで発進しましょう(最初の5秒で、時速20km程度が目安です)。日々の運転において、やさしい発進を心がけるだけで、10%程度燃費が改善します。焦らず、穏やかな発進は、安全運転にもつながります。

2.車間距離にゆとりをもって、加速・減速の少ない運転

走行中は、一定の速度で走ることを心がけましょう。車間距離が短くなると、ムダな加速・減速の機会が多くなり、市街地では2%程度、郊外では6%程度も燃費が悪化します。交通状況に応じて速度変化の少ない運転を心がけましょう。

3.減速時は早めにアクセルを離そう

信号が変わるなど停止することがわかったら、早めにアクセルから足を離しましょう。エンジンブレーキが作動し、2%程度燃費が改善します。また、減速するときや坂道を下るときにもエンジンブレーキを活用しましょう。

4.エアコンの使用は適切に

車のエアコン(A/C)は車内を冷却・除湿する機能です。暖房のみ必要なときは、エアコンスイッチをOFFにしましょう。また、冷房が必要なときは、車内を冷やしすぎないようにしましょう。たとえば、車内の温度設定を外気と同じ25℃に設定した場合エアコンスイッチをONにしたままだと12%程度燃費が悪化します。

5.ムダなアイドリングはやめよう

待ち合わせや荷物の積み下ろしなどによる駐停車の際は、アイドリングはやめましょう。交差点での手動アイドリングストップは安全性に問題があるため控えましょう(自動アイドリングストップ機能搭載車は問題ありません)。10分間のアイドリング(エアコンOFFの場合)で、130cc程度の燃料を消費します。また、極寒冷地など特別な状況を除き、現在の乗用車では基本的に暖機運転は不要です。エンジンをかけたらすぐに出発しましょう。

6.渋滞を避け、余裕をもって出発しよう

出かける前に、渋滞・交通規制などの道路交通情報や、地図・カーナビなどを活用して、行き先やルートをあらかじめ確認し、時間に余裕をもって出発しましょう。さらに、出発後も道路交通情報をチェックして渋滞を避ければ燃費と時間の節約になります。たとえば、1時間のドライブで道に迷い、10分間余計に走行すると17%程度燃料消費量が増加します。

7.タイヤの空気圧から始める点検・整備

タイヤの空気圧チェックを習慣づけましょう。タイヤの空気圧が適正値より不足すると、市街地で2%程度、郊外で4%程度燃費が悪化します(適正値より50kPa(0.5kg/cm2)不足した場合)。また、エンジンオイル・オイルフィルタ・エアクリーナエレメントなどの定期的な交換によっても燃費が改善します。

8.不要な荷物はおろそう

運ぶ必要のない荷物は車からおろしましょう。車の燃費は、荷物の重さに大きく影響されます。たとえば、100kgの荷物を載せて走ると、3%程度も燃費が悪化します。また、車の燃費は空気抵抗にも敏感です。スキーキャリアなどの外装品は使用しないときには外しましょう。

9.走行の妨げとなる駐車はやめよう

迷惑駐車はやめましょう。交差点付近などの交通の妨げになる場所での駐車は、渋滞をもたらします。迷惑駐車は、他の車の燃費を悪化させるばかりか、交通事故の原因にもなります。迷惑駐車の少ない道路は、平均速度が向上するため燃費の悪化を防いでくれます。

10.自分の燃費を把握しよう

自分の車の燃費を把握することを習慣にしましょう。日々の燃費を把握すると、自分のエコドライブ効果が実感できます。車に装備されている燃費計・エコドライブナビゲーション・インターネットでの燃費管理などのエコドライブ支援機能を使うと便利です。

出典 エコドライブ普及連絡会ホームページ

平成24年10月 エコドライブ普及連絡会

PDF版 エコドライブ10のすすめ [PDF 81KB]

省エネドライブの助けになる、厳選おすすめアプリ

正確な燃費データの取得はエコドライブ活動の核とも言うべき重要な要素ですが、データを取得・記録するには走行距離を計算したり給油の記録を残したり、中々面倒な事が多いものです。

そこでおすすめしたいのが便利な各種スマホアプリです。レシートを撮影すると読み取って給油記録をつけてくれたり、エコドライブ診断をしてくれたりするアプリなど、とても便利なものが揃っています。是非燃費データの取得に役立てて下さい。

『e燃費』

燃費データの取得に特化したアプリです。乗っている車種の平均燃費データが表示され、エコドライブができているかの目安として使えます。また、レシート撮影による燃費投稿ができるので、走行距離の入力+レシート撮影で簡単に燃費データが記録できます。過去の燃費履歴のグラフ表示もできるので、燃費の向上などの変化がわかりやすく確認できます。

 

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『ガソリン価格比較アプリ gogo.gs』

位置情報から近くのガソリンスタンドを探すことができるアプリです。近くのガソリンスタンドを検索し、最安値のところを見つけることができます。セルフ給油のみを対象としての検索もできる優れものです。ガソリンの価格は燃費コストに直結しますので、常に安いところをみつけられるようにしたいですね。

 

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まとめ

エコドライブ活動は、経済的にも社会的にも、安全面でもメリットがあり、社会全体で進めていきたい活動です。現場で使う車の運転だけでなく、プライベートでも実践すれば家計の助けにもなりますね。普段からエコドライブを意識し、エコで低燃費な運転を実践していきましょう。

<参考URL>

エコドライブポータルサイト・レクーメディア

エコドライブ普及連絡会ホームページ

環境省「エコドライブ10のすすめ」