公益財団法人高速道路調査会によって主催されているハイウェイテクノフェア2018が11/28-29日に東京ビッグサイトにて開催されました。当展示会では、その名の通り主に高速道路の整備・工事をはじめ、屋外作業において役立つさまざまな技術、器具、アイテムが紹介されました。今回は高速道路での作業に限らず、屋外現場で役立つ技術にスポットをあてて、その様子を紹介していきます。

 

安全対策におけるアプローチにも創意工夫が

高速道路という現場において特に気にしなければならないのは、やはり安全性でしょう。そのため展示品にはLEDや反射技術などを使った視認性の高い標識や誘導灯、フェンスなどの器具が多く見られました。作業着においても自動車のライトで光る視認性の高い作業着や防護服の展示が多く、ちょっと目がいたくなるくらい展示場のあちこちがビカビカと光っていました。

このように視認性を高める製品が多く並ぶ中で、他とは違ったアプローチから安全対策できるアイテムが紹介されていました。ミドリ安全株式会社が西日本高速道路メンテナンス関西株式会社の技術協力のもと2019年1月から販売予定の「K・HO-MET」は、センサーが状態異常を感知すると、従事者が装着したヘルメットを振動させ危険を知らせるという製品です。

「危険を察知し避難するための警告手段は、警笛や信号というものが使われているのが一般的です。つまり、音か視覚で伝えるという方法ですね。ただ、この方法だと周囲がうるさかったり、視界が悪かったりする場合に伝える手段がありません。そこで考え出されたのがこれです」とのこと。振動する受信機はとりはずしもできるので、使い慣れたヘルメットに装着できるのも嬉しいです。

矢板やラバコン自体がセンサーとなっており、こちらが倒れたり、何かがぶつかるなどの衝撃を感知したりすると、すぐさまヘルメットに装着した受信機が振動します。災害はとっさに起こることですが、センサーの感知からほとんどタイムラグなく振動するので、瞬時に異変に気づけることになります。これにより避難がより迅速に行えます。

「K・HO-MET」のヘルメットとセンサー。振動は結構激しく担当の方曰く、「たとえ昼寝していても起きる」とのこと。

 

現場の快適性を生み出す最新&定番アイテム

高速道路での作業となると、その多くの場合で屋根も障害物もない、野ざらし状態がほとんど。そのため冬場は風雨にさらされ寒く、反対に夏場は太陽にアスファルトの照り返しも相まってとにかく暑い。このような過酷な現場においては、従業者の作業着にも配慮が必要になります。ここでは、そんな冬場&夏場の過酷な現場で活躍する快適アイテム2点を紹介したいと思います。

 

首都高メンテナンス神奈川株式会社の「ほっとTEX」は、世界初!の布製ヒーターを搭載したあったかいベスト。従来の電熱線ヒーターやフィルムヒーターとは異なり、繊維自体がヒーターとなる製品です。

ヒーターの温度は36℃から42℃の4段階での調整が可能で、スマートフォンアプリからでも調整可能。実際に装着した感じだとカイロよりもぬるめの温度ですが、面積が大きい分だけあたたまるのが早い感じでした。バッテリーは充電式で、36℃設定で8時間、42℃設定だと2時間稼働するとのことですが、「実際に使うとわかると思いますが服の中の空気も温めるので、すぐに暑いと感じるくらいになります。ですので、普通の屋外作業ならばそこまで稼働時間は気にならないと思います」とのことでした。

ヒーターとなっている布の部分は手洗いもOK!

 

一方、夏場の屋外作業ではもはや定番となっている「空調服」(株式会社空調服)でも、視認性を高めたモデルが展示されていました。

空調服の高視認モデルは、素材に「JIS T 8127高視認性安全服」として求められる品質基準をクリアし、高い視認性を持った蛍光生地と再帰性反射材を使用しているとのこと。視界の悪くなる薄暮時や夜間に着用者の存在を目立たせることで、人対車両事故などのリスクの低減を目的としたジャケットになっています。

カラーバリエーションには蛍光イエローと蛍光オレンジがあるとのこと。

 

現場のワークスタイルを変えるアイテム

今回、最後に紹介するのは、現場で必須となる事務作業を効率化するアプリ。株式会社MetaMojiが提供する「デジタル野帳 eYACHO」は、建設現場で多く使われている野帳をデジタル化するアプリです。

タブレット端末を使用することを想定しているこちらの製品は、従来のように手書きで自由自在にメモをとれるので、気づいたことをその場で書き込みデジタル化して指示書や報告書に反映できます。もちろん手書き文字を、活字にすることもできます。

「現場で気になったポイントを撮影して、そのデータに書き込みを入れ、書類に入れ込むなどの作業を現場で行えるので、これまでのような事務作業にかかるロスを軽減することが見込めます」とのこと。

また、一つの図面や書類、設計図などをリアルタイムで複数人同時に書き込み、共有ができる「Share」機能も特色の一つ。事務所と現場など離れた場所でも、連絡調整や確認が迅速に行えるため、チーム力や組織力の強化も見込めるとのことでした。

実際に触らせてもらった感じだと、ペンタブもストレスなく使えるし、定形書類のパターンなども豊富で、使いこなせれば確かに便利だろうなという印象です。以下のページから30日間無料の体験版がダウンロードできるので、気になった方は試してみるのもいいのではないでしょうか。

デジタル野帳 eYACHO

 

 

まとめ

ハイウェイテクノフェア2018では、この他にも多くの興味深い展示がされていました。今回は紹介できませんでしたが、昨今、さまざまな場所でいわれている「人材不足」や「働き方改革」といったワードも目に付き、より効率化を目指すサービス、製品も目を惹きました。安全性や快適性、そして効率化と、さまざまな点で現場では向上が求められ、探求していることを改めて実感した展示会でした。