寒い冬、冷え性のひとには辛い時期ですよね。冷え性は女性に多いですが、男性でも冷えに悩んでいるひとは珍しくありません。感じ方に個人差はありますが、女性の半数から7割近くが、男性も1~3割のひとが冷えを自覚しているようです。しかし冷えは体質だからしょうがない、と我慢してしまっている人は多いのではないでしょうか。「冷えは万病のもと」とも言われます。放っておくと免疫力が落ち病気にかかりやすくなったり、体の節々が痛んだりと体調の悪化に繋がりかねません。ではどうしたら冷えに悩まされずにすむでしょうか。今回は冷えの症状によって原因を探しながら、日々の暮らしのなかでできる対策をお伝えします。自身の冷えのタイプを知り、自分にあった改善策を見つけてみてください。

 

【タイプ別】4つの冷えの症状と対策

冷え対策といって厚着をしたり、温かい飲み物を飲んだり対策をしていてもイマイチ改善されない……。そんなときは自分の体に合った方法がとれていないのかも。ただ温めればよいというわけではないのです。実は冷え性には大きく4つに分けられる症状があり、それに合わせて対処法も変わります。しっかりと冷え対策をするためには、まずは自分がどのタイプか知ることが肝心。自分の症状と照らし合わせてチェックしてみてください。

 

【末端冷えタイプ】

手足の先が冷えるタイプ。典型的な冷えの症状です。靴下や手袋をしても末端が冷える、足先が冷たくて寝付きが悪い、などの自覚があるひとはこのタイプ。多くの場合、血行の流れが悪くなっていることが原因です。

対策としては、身体を温める食事を心がけ、軽いマッサージやストレッチで血流を良くしましょう。足湯に浸かって末端から温めるのも効果的です。

【内蔵冷えタイプ】

主にお腹や腰まわりなど下半身が冷えるタイプ。胃腸が弱く下痢や便秘がち、足がむくむ、などの症状があります。手足が冷たくなる【末端冷えタイプ】と違って、体の内側(内蔵)が冷えているため気づきにくいこともあります。

内蔵冷えタイプは特に女性は注意が必要な症状。子宮などが冷えてしまうため、生理痛がひどいひともこのタイプの可能性が高いです。腹巻きをして下半身を冷やさないようにしましょう。また食事は胃腸を温めるものを摂るように意識してください。冷たい飲み物は避け、暑い日でも常温で飲むように心がけましょう。おすすめは白湯を飲むこと。1L前後を1日何回かに分けて飲むと効果的です。

【ほてり冷えタイプ】

顔や上半身がほてるタイプ。手先など末端は冷たいのに顔はほてる、眠りが浅くイライラしやすい、などの症状はこちらのタイプ。

このタイプの冷えは自律神経の乱れからくるといわれています。リラックスしてストレス解消できる時間を作ると良いでしょう。好きな音楽をかけたりアロマをたいたり、ほっとできる時間を過ごすことが大切。リンデンやカモミールなどリラックス効果のあるハーブティーを飲むのもおすすめです。

【全身冷えタイプ】

身体全体が冷えるタイプ。貧血気味、体温が36℃以下、などのひとはこのタイプです。

体温が低く常に寒さを感じているタイプです。健康的で免疫力が高い理想の体温は36.5~37℃と言われており、体温が下がると免疫力も低下してしまいます。まずは身体全体をしっかりと温めること。ゆっくり湯船につかり、タンパク質をしっかり摂るよう食事に気を付け、ウォーキングなど軽い運動を取り入れるように心がけましょう。

 

冷えの原因は自律神経、ストレス、それとも運動不足?

どんなタイプの冷えでも、根本的な原因は必要な熱を体内で作ることができないことです。熱を作るには筋肉が大きな役割をはたしています。男性に比べ女性に冷え性が多いのは、女性の方が筋肉量が少ないからとも言えます。さらに過度なダイエットや運動不足によって筋肉量が落ち、より冷えを起こしてしまっているのです。

また熱を作り出しても血行が悪かったりして全身に行き渡らせることができない場合も冷えの原因となります。そのもとになる原因は自律神経のバランスの乱れ。自律神経が乱れると血行不良が起こりやすく、冷えの原因となるのです。現代社会はエアコンにより夏も冬も室内では快適に過ごすことができるようになった反面、屋外との温度差に体がついていけないということが起きやすくなっています。これは自律神経の乱れを誘発します。過労や睡眠不足なども原因になりますし、さらに不安やストレスといった内的要因によっても自律神経は乱れてしまいます。若い世代で多いのはこのストレスによる自律神経の乱れが原因です。

慢性的にストレスにさらされ、運動不足になりがちな現代社会において、冷えは現代病とも言えるかもしれません。

 

普段の暮らしで冷え対策!衣食住&生活スタイル改善方法

ではどうすれば慢性的な冷えを改善することができるでしょうか。普段の生活のなかでできることがあるか見ていきましょう。

 

【衣】適度な重ね着で暖かい空気を逃がさない

血流が滞ると冷えの原因となります。特に下着などは身体を締め付けないゆったりとしたものを着ましょう。ブーツは一見温かそうですが、ピッタリしたものを履くと膝下の血流を悪くする場合がありますから気を付けて。暖かい服を1枚だけ着るのではなく、上からウールのセーターなどを重ね着して服と服の間に空気の層をつくり、暖かい空気を閉じ込めておけるようにするのがよいでしょう。

 

【衣】「3つの首」を温める

首、手首、足首の3つの「首」がつく箇所は太い動脈が皮膚のすぐ下を通っています。この3箇所を冷やしてしまうと体全体の体温が下がってしまいます。逆に言えば、この3箇所を温めれば効率良く全身を温めることができるのです。首はタートルネックなどで覆い、手首の隠れる長袖を着て、足首まで覆う靴下を履きましょう。外出するときはマフラー、手袋を忘れずに。

 

【食】体を温める食材を知って効率的に

食事では冷たい飲み物は避け、常温や体温以上のものを摂りましょう。

また食品には体を温める「陽性食品」と体を冷やす「陰性食品」があると言われています。野菜で言えばかぼちゃ、ニンジン、玉ねぎ、山芋などの根菜や緑黄色野菜のほとんどが陽性食品です。反対にキュウリやレタス、バナナなど地上で育つ色の白っぽい野菜や果実は陰性食品が多いです。鶏肉や鮭などの魚、黒豆や納豆などの豆類なども体を温めます。陽性食品を意識的に摂るように心がけましょう。

 

【食】スパイスを活用しお茶を飲む習慣を

さらに効率的なのはシナモンや八角、ナツメグやクミンといった香辛料(スパイス)です。スパイスは少量で体を温める効果があります。市販のカレールーやシチューに少量混ぜるだけで、胃腸の働きを助け体を温めてくれます。

そして茶葉を発酵させて作る飲み物も体を温める性質があります。紅茶や焙じ茶、烏龍茶などがその代表です。また赤ワインや日本酒なども体を温めてくれます。たとえばシナモンをホットワインやミルクティーにいれて飲むのは効果的ですし、手軽にどちらも取り入れることができそうですね。

 

【住】入浴は湯船に浸かってリラックス

お湯に浸かることで全身の血行がよくなり、新陳代謝も促進され、体温をあげることに繋がります。さらに副交感神経が優位になるのでリラックスするのにも最適です。忙しくてもシャワーで済ませず、湯船に浸かるよう心がけましょう。炭酸ガス入りの入浴剤を使うのも効果的。血行が促進され体の芯から温まります。38~40℃程度の少しぬるめのお風呂に20分ほどゆっくり浸かりましょう。

 

【住】足湯やツボ押しも効果アリ!

冷えが強いときなどは足湯が効果的。家でも湯船やたらい、バケツなどに40~42℃くらいの少し熱めのお湯を入れ、足を浸けることで簡単に足湯ができます。

また冷えのツボと呼ばれる「山陰交」を刺激することで血行を促しましょう。足の内側のくるぶしの頂点から指を置いて3本上のところが山陰交です。足湯に浸かる際もこの山陰交が隠れるくらいにお湯をはると良いでしょう。

 

【体】ストレッチやウォーキングで運動不足解消しよう

筋肉量を増やすことで熱を作りやすい体に改善するのも大切です。特に全身の筋肉の2/3がある下肢を鍛えるのが効果的です。筋トレをするならスクワットが一番。ウォーキングも基礎体温が上がり、筋力もつきます。1日30分を目安に毎日もしくは週4、5日継続すると短期間でも効果があらわれてきます。

ヨガやストレッチで血行を良くすることも大事。ふくらはぎは下半身の血流のポンプ的働きがあるので、適度にもんで刺激し血流を促進すると良いでしょう。キツい運動はできないし時間もない、というひとは日頃から階段を使うように意識しましょう。これだけでも軽い筋トレになりますよ。

 

まとめ

慢性的な冷えを良くするには、生活習慣の改善やストレス解消を同時にうまく行うことが大事です。着るものや食べるものに気を遣っていてもなかなかよくならない場合は、ストレスで自律神経が乱れているのかもしれません。そういうときはマッサージで体をほぐしたり、カラオケでストレスを上手に発散したりと、自律神経のバランスにも気を付けてみてください。普段の生活から、食事や過ごし方など少し意識して変えられるところはきっとたくさんあるでしょう。できることから冷え対策をはじめてみてください。

 

<参考URL>

MAITE『「冷え」の症状から考える4つのタイプと対策』

養命酒『温めるより効果的!手足が冷える原因と、自己チェックで分かる対策方法』

ゆたか倶楽部『今年こそなんとかしたい! 冷え性タイプ診断!! 』

オムロン『「冷え」への対処は、原因を突き止めることから始まる』