「アジア最大級の環境展」と銘打たれた展示会、『NEW環境展』及び『地球温暖化防止展』が3月12日から15日まで東京ビッグサイトで行われました。累計12万人近い人が国内外から集まった当展示会では、地球環境に寄与する製品、サービス、ソリューションが展示されました。リサイクルや廃棄物回収サポート関連、AI利用による自動仕分け機器など最先端の技術、製品が集まっておりましたが、今回は中でも「現場を快適にする製品」にスポットをあて、その一部を紹介いたします。

 

「空調服」2019年モデル&屋外の熱を50%カットする遮熱フィルム「iQUE

夏場の電気代を10分の1に抑えて、疲労感を大幅に軽減させることで人気の『空調服』(株式会社空調服)。2017年には環境大臣表彰を受けるなど、地球環境に優しいエコな製品としても知られています。今回はその2019年モデルが展示されていましたので、まずはこちらから紹介します。

今年のモデルでまず気がついたのは、服のバリエーションが増えたこと。特に迷彩柄やデニムなどカジュアルなものが目を引きます。デザインが増えたのは空調服ユーザーには嬉しいところ。

2019年のカタログはこちらから

 

もう一つ、2019年モデルで注目の新機能は、襟元に備えられたリモコンです。4段階での風力切り替えがボタン1つで手軽に行なえ、バッテリー残量もひと目でわかるようになっています。株式会社空調服の担当の方の話によると、「以前からお客様からの要望の多かった機能を実現できて嬉しい」とのことでした。

あと購入する側として気になるのは今年の在庫状況です。昨年は猛暑が続いたこともあり一時、空調服は入手困難になりましたが、今年は昨年の状況もふまえ「生産を倍増した」とのこと。ただ、すでに今年も3月時点で年度末の駆け込みなどもあり、注文がかなり増えているそうです。「実は一部のモデルで、すでに品薄になりつつあります。急いで増産はしていますが、昨年のこともありますし夏場に入ってしまうと予想がつかないですね」とのこと。今夏、空調服を使用する予定があるのならば、できるだけ早めに確保したほうがよさそうです。

小型のリモコンスイッチで風力調整ができるのはうれしい

 

空調服が屋外向けならば、こちらの遮熱フィルム『iQUE』(製造:米イーストマン・ケミカル、販売:株式会社テック高橋)は屋内向け。フィルム業界で世界でもトップシェアを誇るイーストマン・ケミカル社が製造しているこちらの電磁波反射型日射調整フィルムは、窓ガラスに貼るだけで紫外線カット99%、赤外線カット94%を実現している製品です。

夏場、日中屋外から窓を通じて入ってくる熱は建物全体の73%に達しますが、『iQUE』を貼ると、その熱をおよそ50%カットしてくれるとのこと。展示会場では実際に白熱ライトの前に手をかざし、熱をどのくらいカットするのかを体験できましたが、ライトと手の間にフィルムをかざすと、すっと熱を感じなくなり、その差は歴然でした。

この遮熱効果によって空調効率を向上させることにより、使用電力やピーク時の電力量の削減が望めます。ある導入モデルケースでは年間の電気料金を約13%、約25万円削減できたとのことです。「10年の品質保証がされていますが、導入から4、5年で費用対効果が得られるのでお客様に損はありません」とのこと。夏場、オフィスの窓への日差しが厳しく、光熱費がかさんでしまっているならば、検討の価値ある製品だと思いました。

フィルムの種類は4種類あって、透過度がそれぞれ微妙に異なる。詳しくこちら

 

あなどれない鳥害に事前の対策を

働きやすい現場は清潔であることがとても大切ですが、「どうしても汚れてしまう」あるいは「いつの間にか汚されていた」というようなこともあります。その一つの例が鳥害です。

鳥害は、鳥インフルエンザや糞などに起因した衛生被害の原因になるほか、景観や騒音などの問題を引き起こします。また空調などに入り込み巣を作ることになれば、建物インフラ自体にも大きな被害を及ぼすことにもなります。

株式会社サンニックは、このような鳥害対策を専門に行ってきた企業で、今回の展示会では独自の鳥害忌避グッズをはじめ、そのサービスについての展示を行っていました。特に目を引いたのが、見た目がとにかくギラギラしている鳥よけグッズ『ドットマン』。片目で見ると見え方が変わる、つまり立体視の技術を応用したもので、人間より目がよく視覚に頼った生態である鳥だからより効果があるとのこと。いかに鳥に見せるかを考え抜かれた製品です。

「たとえば工場の屋根や配管、シャッターの影など、対策しないと鳥はいつの間にか入ってきます。そうさせないための予防が鳥害対策ではポイント」とは担当の方のお話。鳥害はいつ起こるかわからないものでもあります。清潔な現場を作る上で、必要な技術と製品であると感じさせられました。

鳥の視覚を混乱させる『ドットマン』シリーズ

 

地球環境に配慮した職場づくりのためのリサイクル製品&節水

小さなブースながら、多くの人が足を止めその製品を手にとっていたのが、食品廃棄油からリサイクルして作られた石鹸(エスケー石鹸株式会社)。リサイクル石鹸と聞くと「変な匂いがしそう」だとか「汚そう」といったイメージがありますが、こちらの石鹸は嫌な香りもなく至って普通の石鹸と変わらないものでした。

使用済みの食用油は、流せば水質汚染になりますし、燃やせば地球温暖化を加速させることになります。CSR活動の一環として、資源リサイクルを通して循環型社会を実現するため、「再利用できるならばぜひやりたい」「これならばウチでも使えるかも」来訪した人たちからはそんな声が聞かれました。実際、導入する起業や自治体、組織、官公庁なども多いようで、現在では約100社の企業などで採用されているとのことです。

もちろん石鹸に本来求められる汚れ落としもしっかり行え、独自製法によって人肌にも優しい品質を実現。ガソリンスタンドなど、油汚れが発生する現場でも導入されているとのことでした。

リサイクル石鹸のラインナップ。詳しくはこちら

 

石鹸で手洗いをする時に必要になるのが水。日本は水が潤沢な国ですが、この水も限りある環境資源の一つです。そして、もちろん使うのには料金がかかりますが、エコバルブ(株式会社オキシー)は取り付けるだけで使用感を変えずに節水できるという製品です。デモを行っていましたので、試しに蛇口から流れている水に手を入れて比べてみましたが、体感では違いはほとんどわかりませんでした。

エコバルブの節水効果は10%~40%と少し幅がありますが、担当の方によると「集合住宅などでは階数によって水圧によって差が出ます。そのため高層ビル、マンションなどよっぽど上の階でない限り大きな効果が期待できます」とのことでした。

この製品のいいところは節水のみならず、動力を必要としないのでランニングコストが全くかからないところ。また導入費用もレンタルプランならば、商品・セッティング料金もかからず、それまでの水道料金から導入して節水できた割合から引かれるので、導入側には料金的なデメリットがありません。料金を支払うのはレンタル期間(最小1年、最大5年)だけで、レンタル期間終了後は返却する必要がなくエコバルブをそのまま使えるのもお得です。水道料金の削減はもちろんですが、地球環境にも優しいのは嬉しいですね。

レンタル契約プランについては詳しくはこちら

 

まとめ

企業にとって地球環境への配慮は、私達の世代のみならず将来の世代のことを考えるならば行わなければならない必須事項です。いくら自分たちの仕事がよいものを作っていても、それに伴って環境を破壊していては評価もされません。環境に配慮した現場作りを行っていけるよう考える、あるいは次の一歩を踏み出すいい機会になる展示会でした。

来年の「NEW環境展」は2020年4月22日(水)から24日(金)まで、インテックス大阪にて開催されるようですので、機会があればぜひ足を運んでみてください。

取材/文:テルイコウスケ