外国人労働者の受け入れの拡大を目的とした、新制度「改正出入国管理法」が、2019年4月にいよいよスタートします。そこで、外国人労働者・技能実習生制度を利用するための、正しい知識と申請方法について、詳しく解説します。
入管法改正の背景
入管法をご存知でしょうか。入管法とは、正しくは「出入国管理及び難民認定法」といって、外国人の在留許可要件、難民認定制度だけではなく、日本人が日本から出国、日本への入国、帰国を含める、“出入国管理制度”が定められた、日本の法律です。
その入管法が、「出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律」が2018年12月8日に成立し、同月14日に公布されました。 この改正は,外国人の日本在留資格である「特定技能1号」「特定技能2号」の創設と、出入国在留管理庁の設置等を目的としています。これによって、特定技能を持つ外国人労働者が日本で働ける枠が広がるようになりました。
その背景には、日本の労働力人口の減少が関わっています。総務省統計局が発表した「労働力調査」によると、労働力人口は、1998年の6793万人をピークに減少傾向を続けていましたが、2005年から2007年の間は、一時的に増加しました。その後、減少を続け、2009年には6617万人 となり、労働力人口比率も低下し、年平均の労働力人口は2年連続でマイナスという結果になったのです。
そして、日本における直近5年間の雇用者数の増加の2割は外国人労働者の増加。その増加の過半は、外国人留学生や技能実習生などによる増加であることがわかっています。
厚生労働省による、平成29年外国人雇用状況報告によると、外国人労働者は約128万人(その内技能実習生は約25万人)で前年比約18%増という結果となりました。 また、外国人を雇用している事業所自体も、約19万カ所となり過去最高を記録しました。以上のことから見ても、日本人の労働力不足に比例するように外国人の就労が増えていることが明らかです。
さらに、厚生労働省が発表した、外国人労働者の雇用が増加している理由は大きく分けて3つあります。
- 雇用する側が、専門的な技術や知識を持つ“高度外国人材”や、“留学生”の受け入れ進んでいる
- 「永住者」や「配偶者ビザ」を持つ、在留資格者の就労が増えている
- 外国人技能実習生制度の活用が増えている
以上述べた3点から、受け入れる事業所側が整い、雇用機会が増加し、今後も外国人労働者のさらなる増加が見込まれます。では、その中でも、最近注目を浴びている外国人技能実習生制度について、解説して行きます。
実際に外国人技能実習生を利用するメリット&デメリットを知る
外国人技能実習制度は、1993年に策定された制度で、日本の技能、技術、知識を習得してもらい、現地の人材育成に寄与することを目的とされています。技能や技術の習得のため、在留資格は最長で5年間。その期間内には学科や実技試験が、実施されています。
本来この制度は、国際協力の一種であり、日本での労働力を確保するためではありませんでした。しかし最近ではこの外国人技能実習制度が、日本の労働力不足の穴埋めのように使われている傾向があります。また、それに加えて、実習生に対して違法な労働を強いる企業があったりと課題が上がっています。
◆受け入れ側の賃金不払いなど、不正行為の現状
外国人実習生は勉強や、知識・技能の習得が目的として来日しているのですが、日本で働くということは、労働基準法の元、日本人労働者と同等の労働環境・待遇が確保されなければならないのです。しかしながら、最近では大きく問題になっている、外国人実習生の不当な長時間労働や、適正な割増賃金を支払わなかったりというケースも増加しています。
2016年に厚生労働省が、外国人労働者を雇用する企業を視察した結果、約70%の企業で労働基準関係法令違反が確認されたという、なんとも驚くべき結果となったのです。
◆“外国人技能実習制度”メリット・デメリット
“外国人技能実習制度”を利用する事業所は増え続ける一方ですが、その理由はどんなことでしょうか。メリットとデメリットを挙げてみました。
<メリット>
1)若い労働力の確保ができる
日本の少子高齢化により、若い労働人口は減る一方ですが、外国人技能実習生制度により、若者の雇用が可能になります。
2)事業所のインフラ整備に繋がる
制度を利用するにあたって、労働時間や就業規則などを細く見直す必要があるため、良い機会となります
3)海外進出の一歩に繋がる
最大のメリットは、外国人技能実習生が日本で働き、自国へ帰国した後、海外ビジネス展開の強力なパイプとなる、ということです。
<デメリット>
1)手続きが手間、受け入れまでに時間がかかる
手続きから受け入れ開始まで、平均で1年から1年半という時間がかかります。
2)賃金・労働環境は日本人と同等
労働基準法の元、外国人技能実習生も同一労働、同一賃金が発生します。また来日までの費用も含めて、事業者負担です。コストをかけないで、雇用するのは不可能です。
3)コミュニケーションの問題
言語や文化の違いにより、日本人と外国人の間で問題が起きたり、ということも少なくありません。
外国人技能実習生のメリット・デメリットを挙げてみました。それぞれご理解いただけましたでしょうか。
「申請手続きの方法」 1・2・3ステップ
2017年11月には対象職種に介護職種が追加され、ますます需要と供給が高まっている外国人技能実習制度。本来は、開発途上国に対する技能移転という制度趣旨ではありますが、前述で述べたように、雇用される側、受け入れる側の双方にとっても良い結果をもたらすことが、大いに期待できそうです。
では、ここからは実際に外国人技能実習生を受け入れるための「申請方法」について、具体的にご説明していきます。
- 技能実習制度の仕組み
技能実習制度は,国際貢献のため,開発途上国等の外国人を日本で一定期間(最長5年間)に限り受け入れ,OJTを通じて技能を 移転する制度です。
- 外国人技能実習機構における申請手続
1)技能実習計画の認定
新制度において技能実習生の受入れを行おうとする方は,受け入れる技能実習生ごとに技能実習計画を作成し,外国人技能実習機構の認定を受ける必要があります。
2)監理団体の許可
新制度において監理事業(実習実施者と技能実習生との間における雇用関係のあっせん及び実習実施者に対する団体監理型技能実習の実施に関する監理をいう。)を行おうとする方は,事前に主務大臣の許可を受ける必要があります。
3)外国人技能実習機構における申請手続
技能実習計画の認定・監理団体の許可に係る申請手続があります。
技能実習制度運用要領・各種様式等はこちらから。
まとめ
今後、労働力の確保が難しくなると考えると、外国人技能実習制度を利用した労働力確保は検討に値するでしょう。近年、受け入れ事業所は増え続けていますが、その一方で、労働者に対して不当な扱いをする事業所も少なくはありません。まずは正しく、制度を知っていただいた上で、メリット・デメリットをきちんとご理解いただきたいと思います。上手に制度をご活用ください!
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