たくさんの電子機器に囲まれている現代社会では、充電や電池の持ちは常に考える問題です。ひとつずつのコストは小さくとも塵も積もれば大きくなるもの。電池の省エネ対策も必須です。電池には様々な種類があります。それぞれにあった省エネ方法を見ていきましょう。

 

電池の種類と特徴

ふだん私たちが使っている電池は「科学電池」といい、電池の内部に入れられた物質が”酸化”や”還元”などの化学反応を起こすことにより発する電気エネルギーを利用するものです。

科学電池には大きく分けて二種類あります。「一次電池」と「二次電池」です。一次電池とは、乾電池に代表される使い切り式の電池のこと。そして二次電池とは、スマートフォンのバッテリーなどのように充電すればまた繰り返し使える充電式電池のことです。それぞれに様々な種類の電池があります。例をあげていきましょう。

 

  • 一次電池

マンガン乾電池          安価で、昔から使われている乾電池。小さな電力で動く機器に向いておりリモコンや置き時計などに適しています。長時間利用すると電圧が下がりますが、休ませるとまた回復するのが特徴です。

アルカリ乾電池          現在の乾電池の大半がアルカリ電池です。マンガン電池の約2倍以上長く使うことができ、大きな電力を必要とする機器に向いています。モーター式のおもちゃやラジオなどにおすすめ。

ボタン式酸化銀電池      電圧が使いきりに至るまでほぼ安定しているため、クオーツ時計などの精密機器に利用されています。

アルカリボタン電池      酸化銀電池の高価な酸化銀の代わりに、同じ電圧で安価な二酸化マンガンを使用したもの。使っていくと電圧は低くなりますが、酸化銀電池より経済的なため携帯ゲーム機など幅広く利用されています。

円筒形リチウム電池      電圧が3Vと高く、軽いのでコンパクトに大きな電力を出すことができ、デジタルカメラなどに向いています。ガスや水道などのメーターにも利用されています。

コイン型リチウム電池    電圧は3Vと円筒形のものと同じ。パソコンなどのメモリー機能、デジタル時計のバックアップに使われています。また車のキーレスエントリーにも利用されています。

 

  • 二次電池

ニカド電池      専用の充電器が必要となりますが、経済的に大きな電力を必要とする機器に利用できます。コードレス電話やシェーバー、非常灯などにも使われています。

ニッケル水素電池        ニカド電池と電圧は一緒ですが同じ大きさで約2倍の電力があります。ノートパソコンやヘッドホンステレオに適しています。また中型のものではハイブリッド車などにも利用されています。

リチウムイオン電池      電圧は3.7V。軽くて大きな電力をもっています。スマートフォンに代表されるモバイル機器に幅広く用いられ、現代にはなくてはならない電池です。

鉛蓄電池        ひとつあたりの電圧は2Vですが、直列に繋がれた12Vのものが自動車用のバッテリーに使われています。また病院や公共施設の非常用電源としても利用されています。

使ってなくてもエネルギーは減っている! 正しい保管の仕方は?

電池は使わないで長時間おいておくと自己放電してしまいます。自己放電とは自然に放電してしまう現象のことで、エネルギーがどんどん失われてしまうのです。ではどうやって保管すればよいでしょうか。

 

  • 暑さや湿度は禁物

電池は熱を持つと劣化しやすくなります。高温の場所においておくと電池内部の電解液が漏れだしたり、手で持てないほどの発熱を起こす可能性があります。直射日光も避けましょう。また多湿も、電池に水分が触れることで漏電を起こすことがあるので気を付けましょう。10~25℃の冷暗所での保管が適していると言われています。冷蔵庫は暗く冷えていますが、電池が結露し錆びてしまう可能性があるので保管には向きません。

  • キーチェーンなど金属物と一緒におかない

金属製のものが近くにあると電気が繋がり、放電してしまうことがあります。少し離れたところに保管するようにしましょう。

  • 古いものと新品や種類の違うものを混ぜない

大きさが違う種類の電池をいっしょくたにしてしまうと、電圧差が生じ放電してしまいます。液漏れや発火などの事故に繋がる可能性もあるので注意しましょう。

これらは電池全般の保管方法。それぞれの電池の保管についてより詳しく見ていきましょう。

  • <乾電池の場合>ビニール袋にいれ向きを揃える

長期間保管する場合はビニール袋にいれほこりを防ぎましょう。ナイロン製の袋がよりよいです。またプラスとマイナスの向きを揃えて電流をおこさないようにすると良いでしょう。開封済みの電池を再度保管する場合、プラス極マイナス極にテープを貼って絶縁すると電池がショートするのを防ぎます。

  • <リチウムイオン電池の場合>充電を30~50%程度にして保管する

充電切れの状態で保管すると過放電になるリスクがあります。逆にフル充電の状態で保管すると電圧が高いままになるので負担がかかり、劣化するおそれがあるのです。そのためリチウムイオン電池を長期間保管する場合、中程度の充電状態にしておくことが良いと言われています。

 

また電池切れしても電池を入れたままにしておくと、過放電という強く放電された状態になり、液漏れや発熱の原因となります。使わなくなった電池は機器から抜くようにしましょう。

 

ランニングコストを考えよう。使用方法と値段は合ってる?

電池は、それぞれ仕様用途によってより適したものがあります。またその性質上、使い方によっても寿命やコストなどが変わってきます。ここからは、コストパフォーマンスの面から、どのような電池をどう使っていけばいいのかを見ていきましょう。

 

  • 使用機器にあった電池選び

電子機器は必要とする電流の大きさで大・中・小の三種類にわけられます。

 

大電流機器:デジタルカメラ、ミニ四駆などモーターを使うおもちゃ、シェーバー

中電流機器:電子辞書、携帯ゲーム機

小電流機器:リモコン、置時計、携帯ラジオ

 

小さな電力に向いているマンガン電池をデジタルカメラやミニ四駆などに使った場合長く使うことができません。アルカリ電池は比較的どの電子機器に対しても使用することができますが、マンガン電池より割高なので、リモコンにアルカリ電池を使うことはコストがかかっていると見ることもできます。自分が利用する機器と利用時間を考え、それぞれに合った電池を選ぶようにしましょう。

 

  • リチウムイオン電池の省エネ方法と扱い方

モバイル機器はこまめに充電したいものですが、外出などですぐに充電できないことも。またバッテリーをなるべくもたせて長く使うことは、ランニングコストを考えた場合行うべき対策です。モバイル機器に多く使われているリチウムイオン電池を良い状態で保つ方法を学びましょう。

 

<室温に保つ>

電池が熱を持ってしまうことが、電池の寿命を短くする一番の要因です。20~25℃前後の室温に置き、直射日光などに当てないようにしましょう。

<スペアを持つより大容量を>

電池は使用されているかに関わらず、時間による劣化は防げません。そのため、スペアであまり使わない電池を持っていても、使用開始時期が同じならスペアが長く持つということではありません。大容量の電池を使う方が長期的に見るとお得です。

<フル充電、充電切れにしない>

保管の際にもお伝えしましたが、充電切れにすると過放電のリスクが、フル充電にすると電圧が高まり熱も持つので劣化が早まる可能性があります。そのための90~15%の状態で利用することが良いでしょう。

<充電回数を減らす&充電したまま使用しない>

充電をすること自体が電池を劣化させる原因のひとつとなります。頻繁に充電するよりは、充電切れ寸前で充電を行う方が回数を減らせ、電池には良いのです。また充電をしながら機器を利用することは、機器の負荷が熱となり電池の劣化を促進してしまうのでやめましょう。

 

まとめ

私たちの生活、仕事の中ではさまざまな電池が使われています。特にモバイル機器やIoT全盛の世の中では、充電は日々頭を悩ませる大きな問題です。保管や使い方など細かな部分は面倒に感じるかもしれませんが、ルール付してしまえば日々の中で自然に行えるようになるものです。機器に合った電池選び、省エネ対策を心がけていきたいですね。

 

参考URL

電池工業会「電池の知識:電池の種類」

通販モノタロウ「電池の種類と選び方」

BOATマガジン「電池の保管方法を解説!ラップや冷蔵庫は意味ない?」

電池の情報サイト「リチウムイオン電池の長期保存(保管)方法は?満充電状態が良いのか」

cnet japan「リチウムイオンバッテリを長持ちさせる–5つのヒントを紹介」

ノートン「スマホのバッテリー長持ち対策|消費しやすい3つの原因とは」