社員教育研修セミナーの効果に納得していますか? セミナーの効果を最大限に活かすには、社員の立場や階層に合わせたセミナーを選び、現状を認識し、事前事後の課題を明確にすることが大切です。目指すべきゴール、目標の設定が明確になり、効果測定がしやすくなります。今回は「受けたはいいけど、受けっぱなし」にしないために「社員教育・セミナー」の効果を高める方法を見ていきましょう。

 

「社員教育・セミナー」の効果を上げるために必要なこと

せっかく研修やセミナーを社員に受けさせても、当日は「すごく勉強になった!」と帰ってきても、「その行動は数日しかもたない」「日々の業務に追われていつも通りの行動をしてしまう」「本当に効果が出ているかわからない」というお悩みを抱える、社長や人事担当者は多いものです。せっかくお金も時間も投資するのだから、費用以上のものを会社に持ち帰って欲しいですよね。

本当の「研修の効果」とは何でしょうか。研修を受けた受講者が研修で学んだことを職場に持ち帰り、実践して、目標を達成すること。最近では、その効果を測る「効果測定」はもちろんのこと「効果を持続させ、さらなる向上」を目的とされています。

研修は、運営側がただ企画したり、参加するだけでは、何の意味もありません。企業や受講者の課題をしっかり捉え、目標を達成させるために、人事担当者が働きかける必要があります。

では、具体的に何を考えるべきなのか、以下の2つが重要になります。

 

1)研修の目的を明確にして、「効果測定」を行う

どんな研修でも、研修の目的を明確にし、その目的に対して、達成度を測ることが必要不可欠です。効果を測る「効果測定」は、大きく分けて2つの視点があります

 

1 企業の経営戦略(企業の成長・発展に寄与したか)

・職場における行動の変化

・業績成果への貢献度

2 社員個人の成長(自身の能力開発や成長に繋がっているか) 

・研修に対する意欲・満足度

・スキル、知識

・モチベーションアップ

 

上記の2つは、どちらか一方に偏り過ぎてしまってはいけません。企業と社員が向かうべきゴール、方向性を深掘りし、しっかり理解した上で、初めて研修効果の測定が可能となります。

 

2)「研修効果の持続」

研修を受ける上で、一番重要なのは、研修直後。目標を達成するには、何をしたら良いかアクションプランを立てます。その目標に対して、まず最初のアクションプランを決め、人事担当者は、上長と連携して定期的にこのアクションプランを確認していくことが重要です。そして次のフェーズまでに何をするべきなのかを追っていくことです。

セミナーの効果測定、効果の持続を成功させるポイントは「目的の見える化」ということ、おわかりいただけましたでしょうか。

 

【社員タイプ別】必要なスキルはこれ

実際に「どんな研修を選んだら良いかわからない」「効果的な研修を選ぶ方法が知りたいという方は、まずは目的を再確認しましょう。その上で、その「研修・セミナー」でどんな能力が得られるのかを考え、選んでいきましょう。ここでは、社員を階層別に分け、求められる期待と役割に合わせた研修をご紹介していきます。

 

新入社員 

新入社員の導入研修・フォローアップ研修に

・「ビジネスマナーの基本」

・「コミュニケーションスキル強化」

・「ビジネス文書・Eメール入門」

若手〜中堅社員 

仕事力レベルアップ、部下育成、管理職養成に

・「論理的思考力と問題解決力」

・「仕事力・行動力強化」

・「プレゼンテーション力強化」

マネジメント層 

新任管理職の導入研修に

・「リーダーシップ」

・「チームビルディング」

・「ファシリテーション」

・「コーチング」

女性向け

これから期待される女性社員向け

・「ビジネスコミュニケーション」

・「キャリアデザイン」

・「女性リーダーシップ」

 

社員教育の方法

社員教育を行うにあたっては、自社で実施できるもの、外部に委託するものなど、いくつか方法があります。階層や社歴、年齢など状況に応じた社員教育を行うには、これらを組み合わせた育成体系をここでは、少しその方法と特徴をご紹介します。

 

・オフザジョブトレーニング【off-the-job training】

オフザジョブトレーニングとは、専門的な知識を習得するために、セミナーや、通信講座などに参加すること。日々の業務から離れて、トレーニングを受けることができることや、大人数でのトレーニングが一度にできることが特徴です。

・オンザジョブトレーニング【on-the-job training】

オンザジョブトレーニングは、入社後に上司や先輩が指導担当となり、実際に日々の業務に従事しながら、仕事の方法を教わるためのトレーニングのことです。最大のメリットは、わからないことがあってもすぐに聞ける体制であることです。社員の理解度やスピードに合わせて対応できるため、習得しやすくなります。

・ワークショップ型研修

社員教育・セミナーの間でも、最近、特に人気の高いワークショップ型研修があります。ワークショップ型研修とは、講義型研修とは異なり、受講者に課題を与え、グループや講師と共にディスカッションを行いながら進めていき、最終的なアウトプットを求めていく研修です。ワークショップ型研修のメリットは、グループで発言しながら行うので、自分とは違った考えや発言を聞く機会が得られます。また学んだ知識やスキルを持ち帰って「実践に落とし込むまで深掘りしていく」ことができるのです。

最近では、座学よりも、格段に深く理解が進むとので人気があります。受講者同士のコミュニケーションも取れるので、社内・社外に限らず、良い刺激となります。

 

セミナーで得た知識を活用するための方法とは?!

役職、役割に合わせた人材育成・能力開発のための研修をご紹介しました。研修を受けた後のどのように組織に貢献できるか、個人への成長へとつながるかは研修を選ぶ時点ですでに決まってしまっています。適切な方法を事前にしっかり検討することが重要です。

また、受けた後どうするかも同じくらい重要です。

セミナーによって得た知識を(ナレッジ)を「見える化」することはとても大切です。セミナーを活用するためには、ナレッジマネジメントが必要だとよく 耳にしますが、ナレッジマネジメントとは、社員一人ひとりの持つ知識や情報を組織で共有し、全社的な知識・ノウハウの向上と活用を図ることを言います。

そしてさらに、一度だけでなく継続的な知識の習得に使われ続ける「共有する仕組みづくり」が、最も重要な課題と言えるでしょう。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。せっかく受けた研修を、受けっ放しで終わらせないための方法をお伝えしました。そのためには、受講する社員だけでなく、企画をする人事担当者と連携して上長のサポートも欠かせません。これを機に、社内教育のあり方を見直してみてはいかがでしょうか。

 

<参照先>

厚生労働省「社員の自律的なキャリア形成を 支援する企業の先進事例」

厚生労働省「若手・中堅・ベテラン社員へのインタビュー集」