ロープ高所作業に関する労働安全衛生規則が刷新され、これまでには必須でなかった安全に関する研修が求められるようになりました。フルハーネスの義務化など、今後は従来のルールとは違うベルトの着用と運用のための知識が必要になります。対応していくためにはどうすればいいのか。そのポイントを抑えて解説していきます。

 

新しくなった労働安全衛生規則とは

「ロープ高所作業での危険防止のため労働安全衛生規則」が改正されました。施行日は平成28年1月1日、特別教育の施行日は平成28年7月1日です。特別教育とは安衛則第36条・第39条・安全衛生特別教育規程第23条に記載されているように下記の科目に関する教育を受けることです。

 

教育科目

労働者をロープ高所作業に関する業務に就かせるときは、安全のための特別の教育を行う必要があり、大きく分けて学科教育と実技教育に別れます。

学科教育

  1.  ロープ高所作業に関する知識
  2.  メインロープ等に関する知識
  3.  労働災害の防止に関する知識
  4.  法令関係

実技教育

  1. ロープ高所作業の方法・墜落による労働災害防止のための措置・安全帯と保護帽の取扱い
  2. メインロープ等の点検

上記の合計6科目、7時間分の教育講習(ロープ高所作業の方法・墜落による労働災害防止のための措置・安全帯と保護帽の取扱いのみ2時間の講習)となっております。

例外措置として、新安衛則公布後施行日より前にロープ高所作業についての特別教育の全部または一部の科目を受講した場合は、受講した科目を省略することができます。

平成28年1月1日に使用された「ロープ高所作業における危険の防止のための規定」には下記のものがあります。

  1. ライフラインの設置 安衛則第539条の2
  2. メインロープ等の強度等 安衛則第539条の3
  3. 調査及び記録 安衛則第539条の4
  4. 作業計画 安衛則第539条の5
  5. 作業指揮者 安衛則第539条の6
  6. 安全帯・保護帽 安衛則第539条の7・安衛則第539条の8
  7. 作業開始前点検 安衛則第539条の9
  8. その他

特に重要な1.「ライフラインの設置 」と2.「メインロープ等の強度等」と5.作業指揮者に関しては次の章で少し掘り下げて記載いたします。

 

特別教育と必要とする業務の追加に関して

「ロープ高所作業での危険防止のため労働安全衛生規則」の中でも特に重要だと考えられている科目を詳しくみていきましょう。

○ライフラインの設置 安衛則第539条の2

今後はライフライン(上で固定したロープや、リトラクタ式墜落防止器具など)に安全帯を取り付けることが義務付けされます。そしてライフラインとメインロープはそれぞれ強固な支持物に確実に結節していることが求められます。

○メインロープ等の強度等 安衛則第539条の3

メインロープ、ライフライン、これらを支持物に緊結するための緊結具、身体保持器具とこれをメインロープに取り付けるための接続器具は十分な強度があり、著しい損傷、摩耗、変形や腐食がないものを使用する必要があります。

また、メインロープ・ライフライン・身体保持器具に関しては、下記の4つの取り決めを複数人で確認することが義務付けられました。

  • はずれないようにしっかり安全に結合しているかどうか
  • 作業するのに十分な長さがあるか
  • 途中で突起物など、ロープを切断するようなものはないか
  • 突起物が撤去できないときは覆いを設けるなど切断対策がされているか

○作業指揮者 安衛則第539条の6

メインロープ等の強度等を、作業指揮者が責任を持って監督しなければならない。

 

上記を踏まえた上で、新しく講習を受ける必要があるのは下記のような方々です。

・ビルメンテナンス、ビル清掃関係者

事業所によってはガラス清掃とビルメンテナンスの両方を行っている事業所もあり、該当する方は多いのではないでしょうか?

・消防職員

今の所必須ではないものの親和性が高く、スキルアップや緊急時の対処法の獲得などで受ける方が多いです。

・林業従事者

こちらも必須ではありませんが、特殊な技術を体系的に学べるということで好評です。

 

高所作業に適したロープの選び方と講習の受け方

高所での作業は様々な危険の伴うものとなるため、知識はもとより道具や作業服なども厳しく決められています。どんな作業着、どんなロープ、どんな補助道具が必要かなどを順番に紹介していきます。

 

【快適現場プラス編集部のおすすめ講習編】

講習をどこでうけるかですが、ポイントとしては2つあります。

1)学科と実技を両方共受けることができるかどうか。

両方あわせて7時間分の講習を受けなければいけないにもかかわらず、どちらか片方だけを提供している企業もあります。ですので、講習場所、企業を選ぶ際は両方の講習をしている所を選ぶのがポイントです。

2)どの職種のための研修化が記載されている。

職種によっては細分化されていないので、どの講習でも法的に問題はないのですが、ご自身の職種により近い講習会に参加することでより具体的になり、学びが加速します。

 

一般社団法人 東京技能講習協会

東京都江戸川区中央1-1-11

TEL:03-5879-3193

事務所営業時間 9:00~17:00 (月~金)

研修は2日間に分かれますが、人数によっては出張できてくれたりとフレキシブルに対応してくれます。

 

一般社団法人 ロープ高所作業協会

埼玉県川越市南大塚1-24-3(ケンテックシステムズ内)

TEL 049-241-8364

こちらは1日で完了します。講師の質も高いので、安心して受講できます。

 

【快適現場プラス編集部のおすすめ作業着編】

空調服 2019新作 ハーネス対応 撥水 UVカット 遮熱加工 空調服 長袖 ブルゾン ジャケット

特徴:遮熱性を付与した機能素材を使った空調服。未加工品に比べマイナス5度以上の遮熱効果があり、炎天下での高所作業に最適なハーネス対応タイプです。

 

空調服 2018新作 綿100% おしゃれなヘリンボーン柄 空調服 フルハーネス 長袖ブルゾン ジャケット

特徴:高所作業者向けのフルハーネス対応。手入れや洗濯もしやすく、肌ざわりの良い綿100%素材です。おしゃれなヘリンボーン柄がカジュアルな雰囲気も魅力。

 

SOWA  つなぎ NO.9000 オーバーオール 続き服 長袖 21カラー

特徴:サイズ、カラーが豊富で値段も手頃なため自分にぴったりの作業服が見つかります。ポケットがマジックテープ付きになっているなど落下対策もされています。

 

【快適現場プラス編集部のおすすめロープ編】

藤井電工 ツヨロン(TSUYORON) 一般高所作業用安全帯 1本つり専用 ノビロン副ランヤード AT-NV991-BL-N-JAN-BP [落下防止 電気工事 高所での安全作業]

特徴:適度な長さで作業の妨げになりにくく、ロープ式に比べると引っかかったときの衝撃が少ないため、重宝できます。

 

藤井電工 ツヨロン(TSUYORON) 一般高所作業用安全帯 1本つり専用 一般高所作業用安全帯用取替え用ランヤード UB-L90N-BLK-L-JAN-BP [落下防止 電気工事 高所での安全作業]

特徴:コスパがよく間違った通し方ができない誤挿入防止構造なので初心者でも安心して購入いただけます。

 

TOYO 着脱巻き取り式ランヤード GH型 53mm大口径フック NO.MA-301 [安全帯 落下防止 電気工事 高所での安全作業]

特徴:脱着巻取り式ランヤードでつけ外しも楽々!軽さとリールロックの切り替えやすさが売りです。

 

その他

Eiie 一般高所作業用安全帯 フルハーネス安全帯 [落下防止 電気工事 高所での安全作業]

特徴:プロ御用達の安全帯。上半身のベルトのズレを防ぐためにマジックバンドとシリコンストッパーを付けました。コスパがとてもよく現場の皆様にご利用頂いております。

 

まとめ

変更に関して

  • 安全確認の義務付け
  • 責任者の設置

講習に関して

  • 7時間の特別講習を受ける必要がある

上記の2点の変更ですが、新しい労働安全衛生規則が施行されてしばらく経ちました。しかし、すべての現場で適応されているとは言えないのが現状です。ロープの種類や実際に行わなければいけない作業、そしてそのための講習。安全に作業するためには欠かせないものなので早めに講習を受けて、安全、快適な現場ライフを送りましょう!

 

 

参照URL

厚生労働省「『ロープ高所作業』での危険防止のため労働安全衛生規則を改正します」

東京技能講習協会「ロープ高所作業特別教育」

ロープ高所作業のための”役に立つ”ハナシ「ロープ高所作業特別教育は誰が受けるの?」

ロープ高所作業のための”役に立つ”ハナシ「これから受講する人必見!ロープ高所作業特別教育の選び方」

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