省エネの最新設備を導入したくとも費用面がネックであるというとき、国から省エネの設備投資に補助金がでる制度を活用しない手はありません。具体的にどのようなメリットがあるのか、どういった補助金があるのか詳しくみていきましょう。
省エネのための投資とは?
省エネ法が制定して以来、日本は省エネに積極的に取り組んできました。エネルギー基本計画では、2030年時点のエネルギー消費量を5030万kL程度削減することを見込んでいます。これには2030年までに35%のエネルギー効率改善が必要ですが、これは大変高い目標です。1993年から2013年まで20年間の同改善率が14%であり、2016年度時点での削減量は876万kL、進捗率は17.4%ですからまだまだ今のままでは目標に達することは難しいでしょう。
そこで政府は個人の生活の中でのエコアクションだけではなく、企業に対しても同じく省エネを促しています。とはいえ「企業で取り組む省エネ」がどのようなことか、どこから手をつければいいのか分からず不安に思っている企業も多いでしょう。
企業が取り組むべき省エネの代表は省エネ性能の高い設備投資です。製造工場の機器、店舗の冷暖房など、稼働する上で必要不可欠な設備は様々あり、使用するエネルギーは膨大です。それらを省エネ性能の高い設備に変えることで、エネルギー消費量を削減することを国は推進しています。とはいえ無い袖は振れません。古い機器を入れ替えたくとも資金的余裕がなく踏み切れないこともあるでしょう。そうでなくとも企業で使用する設備は大規模なことが多く、設置に時間もお金もかかります。
これを受けて政府は企業の省エネ推進をサポートする施策を打ち出しています。その中心が「省エネ補助金」と呼ばれる省エネ関連の補助金です。経済産業省の「省エネルギー投資促進に向けた支援補助金」をはじめ、環境省や国土交通省などが補助金や税制の優遇制度を打ち出し、省エネ対策を推進しているのです。
省エネ投資「3つメリット」
では省エネ投資をすることで具体的にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
1)最新設備の導入が可能となる
最新の設備に入れ替えることで、より効率よく業務が進められます。稼働時間がいままでより短縮されたり、これまでより多く生産が可能になるなど、スムーズに業務が進みます。
2)省エネ設備によりランニングコストが安くなる
省エネ性能に優れた最新設備を導入することでエネルギー消費量が削減されるため、ランニングコストが低下します。長く企業活動を続けていくためにはランニングコストを抑えることがなにより重要です。
3)対外的にもプラス評価
国が進めている省エネに参加する、ということは企業のイメージアップにも繋がります。株主や付き合いのある企業からもプラスの評価を得られるでしょう。また省エネ対策の無理な事業計画もなくなるため新しい事業へと目を向けることができます。
さらに補助金を利用して省エネ投資を行えば、初期投資が軽減され、設備導入がしやすくなるだけではなく投資回収年数の短縮にも繋がります。省エネの費用対効果が目に見えやすくなることで、企業としてまた新たに取り組むべき投資や省エネが見つかるでしょう。
どう違う? 投資別でみる補助金
一言で省エネ補助金といっても種類やルールは様々です。すべての省エネ設備導入に補助金が出るわけではありません。規模や種類、時期などにより使える補助金は異なります。たとえば経済産業省の「省エネルギー投資促進に向けた支援補助金」は主に3つに対する補助金です。
- 事業者の省エネ化(エネルギー使用合理化等事業者支援補助金)
- 再生可能エネルギーを利用したゼロエネルギーハウス(ZEH)、ゼロエネルギービル(ZEB)の導入
- 断熱性能の高い省エネ住宅
一番有名なものはエネルギー使用合理化等事業者支援補助金で、予算額も多いため多くの企業が活用しています。では他にどのようなものがあるのか、主なものを紹介しましょう。
・エネルギー使用合理化等事業者支援補助金
経済産業省
予算:382億円
公募期間:5月中下旬~6月下旬(推定)
予算がもっとも多く、工場や事業所への省エネ設備の導入、入れ替えに必要に費用を補助するもの。
・電力需要の低減に資する設備投資支援事業費補助金
経済産業省
予算:100.4億円
公募期間:5月中下旬~6月下旬(推定)
工場における省エネ、省電力設備の入れ替え促進のための費用を補助するもの。
・業務用施設等におけるZEB化・省CO2促進事業
環境省
予算:85億円
公募期間:~12月
テナントビル、建築物、施設のLED照明などの導入を促す補助金。
・既存建築物省エネ化推進事業
国土交通省
予算:99.83億円の内数
公募期間:4月15日(月)~5月27日(月)消印有効
オフィスビルなど建築物の改修し、断熱などの省エネ、バリアフリー工事の費用を補助するもの。
・中小企業経営強化税制
国税庁
特定の経営力工場設備等を導入しその法人の指定事業の用に供した場合に即時償却、または7%もしくは10%の税額控除が受けられる。
どの補助金を利用できるのか確認するためには、まずは設備の改修や導入によるエネルギー消費量の削減量を計算しましょう。省エネ率の計算などもする必要があるため専門のコンサルティング会社に相談もよいでしょう。まずは現状の電気使用量やエネルギー消費量を把握し、どれをどのように減らせるかを考え、企業に合った補助金を申請しましょう。
まとめ
補助金の対象になる機器は、空調や給湯器、変圧器にボイラー、照明など多岐にわたります。大規模な設備でなくとも現在よりも少ないエネルギーで動く機器は省エネ設備の対象と呼ぶことができます。コストを抑えるためにも、手近なところから省エネ設備投資を考えてみましょう。またうまく補助金を活用することで、省エネは対策ではなく必要な企業戦略となり得ます。大規模な改修も補助金を利用し積極的に検討してみましょう。
参考文献・資料
脱炭素化支援株式会社「平成30年度省エネルギー投資促進に向けた支援補助金」
経済産業省・資源エネルギー庁「電力需要の低減に資する設備投資支援事業費補助金」
スターメンテナンスサポート「平成31年度予算成立!省エネ設備投資に関わる補助金の動向【経済産業省】」
スターメンテナンスサポート「省エネに使える補助金!基本の3つが分かれば難しくない」
エネプラ.com「省エネ設備の補助金について(LED、空調など)」
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