今回は「作業日報」についてです。現場で働く方もオフィスワーカーの方も、作業日報を毎日書いている方は多いかと思います。時に煩わしくも感じるこの日報ですが、その意義は思ったより大きいものかもしれません。改めて、作業日報をつける意味やメリットについて考えてみましょう。

 

作業日報の目的と確認すべきポイント

さて、作業日報をつけるのは、当たり前ですが書いておくと様々なメリットがあると思われているからです。作業日報をつけるメリット、目的とはそもそもなんでしょうか。

具体的には、下記のような内容が目的と言えます。

 

  1. 一日の業務量の把握と振り返り

一日の仕事のうちどの部分にどの位時間をかけたのかを記録する事で、時間配分を効率よく行えているか、無駄な部分がなかったかについて自己確認することができ、仕事の改善点を見つけやすくなります。また、後日その日に何をしたかを振り返る為の備忘録にもなります。

 

  1. 現場内、オフィス内の情報共有

一人一人の仕事ぶりは別チームや別部署からは見えにくいものですが、互いの日報を読みあったり現場監督に確認してもらう事で、互いの仕事ぶりを把握しあう事ができます。情報共有は、互いに支援しあったり足りない部分を補い合う為に大切な事です。

 

  1. 上司や同僚からのアドバイスが期待できる

作業日報を書く現場においては、それをチェックする担当の上司や同僚がいるはずです。日報チェックの担当者は一人一人の仕事の進捗状況を日報から確認し、日報から気付いたところがあればコメントやアドバイスをする事ができます。これにより業務内容の見直しを効率よく行えます。

 

  1. コスト管理と利益拡大

作業日報の内容を集計する事で、予定通り業務やプロジェクトが進んでいるかについて確認する事ができます。予定よりも進捗が悪い場合は、その原因を考えなくては残業や納期遅れを招いてしまいます。労働力が不足していないか、効率の悪い状態になっていないかをチェックしましょう。逆に進み過ぎている場合は、人件費が過剰な状態と言えるかもしれません。日報データを分析する事で人件費や品質に対するコストを確認しやすくなり、効率化やコストダウンによる利益拡大にも大きく役立つ事となります。

上記のように、作業日報は個人にもチームにも役立ち、更には経営レベルに至るまで影響を及ぼす事もある、大切なデータと言えます。

 

書き方の注意点

日報の書き方の注意点としては、要点を簡潔に書きつつ、他の人が見てもわかりやすい内容にしなくてはなりません。

下記のような点に注意しながら書くようにすると良いでしょう。

 

ポイント1:5W1Hを意識して書く

5W1Hとは、いつ(when)、どこで(where)、誰が(who)、何のために(why)、どのように(how)をまとめたものです。これらを意識し、漏れなく書くことでわかりやすい日報になります。特に「何のために」の部分を意識することが大切です。その日の業務が「何のために」実行されたかを日々再確認することで、業務の方向性を見失いにくくなります。

ポイント2:具体的な数値を記入

どの作業にどれぐらい時間がかかったかなどについて、具体的な数値を記入するようにしましょう。数値は客観的な「量」を表す役割を持っています。記入することで具体性が加わり、イメージがしやすくなると共に内容の信頼性も高まります。

 

上記の注意点を全体に周知し、日報の精度を高めていけるよう努めましょう。

また、作業日報に実際に盛り込むべき内容としては下記のような項目があります。

 

項目1:1日の業務内容

その日に何をやったのか書き出しましょう。他の人が見ても正しく把握できるように、内容は簡潔かつ具体的に記述しましょう。また、何の業務にどれだけ時間をかけたのかについて一目でわかるようにしておくと良いでしょう。

項目2:今後に向けての課題

業務の中で手こずった部分、上手くいかなかった部分にフォーカスして振り返り、上手くいかなかった原因とその解決策について考えてみましょう。同じ場面に再度遭遇した時に役立ちますし、情報が広まれば同じ箇所で苦戦している人の助けにもなります。逆に、同じようにうまく行かなかった経験をしたことがある人から、良質なアドバイスを貰えるきっかけになるかもしれません。

 

上記をうまく日報のフォーマットに落とし込み、日報の品質を向上させていけるようにしましょう。また、書きやすい日報フォーマットを用意する事で、日報作成にかかる労力を軽減していきましょう。

下記のようにテンプレートを無料配布しているサイトもありますので参考にしてみてください。

ferret – 部下の仕事を簡単に確認できる「週報・日報・月報」テンプレート13選

 

現場を変える日報運用のコツ

出来上がった日報ですが、そのまま置いておいては意味がありません。せっかく時間をかけて作成する日報ですから、最大限活かしたいものです。その為にはどんな日報運用が適切な方法であるか、考えてみましょう。

 

・日報提出期限ルールを作る事

日報は鮮度が大切です。作成が遅れると、作業内容を思い出せなくなってしまう事が多々あります。提出期限については当日、もしくは翌日の朝に設定するよう義務付ける事で、常に鮮度を保った状態で提出するようルールを作りましょう。

・共有する事

日報の一番強力な力は、作業の内容を共有できる事です。例えば、日報の中身に当人しか知らない情報が含まれていた場合、日報を共有する事でチームはそれを知る機会を得ることになります。その人しか知り得なかった情報というのは得てして貴重なもので、そのままにしておくのは勿体ないというものです。共有をしていくことで、チーム全体の業務改善に役立つ事になります。チームの責任者は毎日チェックし、良い取り組みをしている人にはコメントなどで評価を伝えましょう。チームの業務に活かせる内容を見つけたらピックアップし、業務改善に活かしていきましょう。

・日報作成のモチベーションアップ

日報と言うと「上司が部下を管理するのためのツール」と認識されている事が多く、その認識が自主的に日報に取り組みにくい原因となっているケースが多いようです。自主的に取り組みやすくする為には、日報が個人の成長に役立っている事を実感して貰う必要があります。

実感を持ちやすくする工夫の一例として、日々の業務における目標を作業者主体で作ってみましょう。そして、その目標に沿った行動ができたかについて振り返る項目を作ってみてはどうでしょうか。目標は漠然としたものでも構いません。個人個人が主体性をもって目標に取り組み、取り組んだ結果を具体的に日報に記録する事ができると、日報を通して自身の成長を感じる事ができ、より自主的に日報を書けるようになります。

 

まとめ

既に日報を導入している現場・会社は多いと思いますが、各自の日報に対するモチベーション低下から、日報が形骸化しているパターンも多いかと思います。日報の目的やメリットを見直し、改めてその意義を周知し、モチベーションアップの為に新しい取り組みをしてみましょう。個人にとってもチームにとっても、日報から受ける恩恵は多いはずです。

 

参考URL

俺の夢「作業日報ってどうして書くの?工事現場の日報の重要性を再確認しよう!」

Qiita:Team「日報の4つの目的を理解して、業務成果につなげよう」

J-net21「日報の大切さとその活用」

パートナリング株式会社「日報はシンプルに運用を!」