現在、世界的に新型コロナウイルスの驚異が説明するまでもなく広がっています。感染しないためには毎日のこまめな手洗いや消毒をすることが大変重要です。また十分な食事と睡眠を取り、免疫力を高めることも有効であると認められています。これから春にかけては、体調を崩しやすい季節ですのでより注意が必要になってきます。春はなぜ体調を崩しやすいのか、どうすれば病気にならないのかひとつずつみていきましょう。

 

「変化」が不調を引き起こす

なぜ春は体調を崩しやすいのか。原因のひとつにストレスを溜め込んでしまいやすい季節だからというのがあります。ようやく暖かくなる春は気分も開放的になり、ストレスとは縁がないように感じるかもしれません。なぜ春にストレスを抱えやすくなるのか、それには大きく二つの「変化」があげられます。何が心身の負担になってしまうのかをみていきましょう。

 

・気温、気候の変化

寒い冬から暖かい春へと気候が変わる季節の変わり目は、特に日々の寒暖差や気圧変動が大きい時期です。春先は「三寒四温」とも呼ばれるほど温度差が大きく、一日ごとに10℃以上気温が上下することも珍しくありません。体温調節が難しくなるため、風邪を引いてしまったり疲れがとれにくくなりストレスがたまってしまうのです。

 

・環境の変化

春は別れと出会いの季節。就職や転職のみならず、異動や昇進など慣れ親しんだ環境を離れる方は珍しくありません。それにともなって引っ越しをしたり人間関係が変わっていったりと、他の季節に比べプライベートも変化が多い時期です。新しい環境では慣れるまで心身ともに大きくストレスがかかります。またこの時期は通勤電車などの交通機関も混雑しやすいと言われており、なかなか心が休まらずいつも張りつめている状態になりがちです。

 

・自律神経の不調

この二つの要因は自律神経に大きく作用します。交感神経と副交感神経がバランスを取りながらからだの働きを調節していますが、ストレスがかかるとこのバランスが取りにくくなってしまいます。

気圧の乱高下が頻繁に起こるため、自律神経の切り替えがうまくいかないことが多くなります。また寒暖差に対応するため交感神経が活発になり、たくさんのエネルギーが消耗され疲れやだるさを感じやすくなります。日照時間も長くなり夜更かしすることが増え、生活リズムが崩れ日中も眠気が消えない状態になりがちです。

生活環境が変化すれば、慣れるまで常に緊張感にさらされてしまい、自律神経のバランスも乱れやすくなります。自律神経が乱れれば、疲れがとれず体力や免疫機能の低下にも繋がってしまいます。

 

・メンタル不良になりやすい時期

春はこうした気候や環境の変化に心身が追いつかず、不調が出てしまうことが多くなるのです。自分では気づかないうちに疲れがたまっていて、5月の連休後に張りつめた糸が切れるように体調不良が出てしまうこともあります。これは5月病と総称される状態で、ゴールデンウィーク明けに仕事に集中できない、食欲が落ちる、眠れないなどの不調が起こります。春に迎える「変化」が多い人ほど、ストレスを抱えやすくなるため予防や対策も必要になります。

 

春になりやすい病気って?

・溶連菌感染症

のどの痛みや39℃前後の発熱、発疹などが出る溶連菌感染症。症状は風邪に似ていますが、咳や鼻水などの症状が出ないのが特徴です。重症化すると手足などに小さく赤い発疹が出たり、舌が赤くつぶつぶになる「イチゴ舌」と呼ばれる症状が見られます。例年ゴールデンウィーク前後から6月頃にかけて流行します。子どもがかかりやすい病気ですが大人でもかかることがある病気ですので、きちんと予防をしましょう。

 

・風疹、はしか、水ぼうそう

風疹やはしか(麻疹)、水ぼうそうも通常春ごろに流行します。高い熱や発疹が出るのが特徴です。年齢では1歳から2歳までの子どもがピークですが、成人になってからかかると入院をしなくてはいけないほど比較的重症になりやすい病気です。これらの病気予防にはワクチンの予防接種が効果的なので、自分の予防接種歴を確認しましょう。

 

・熱中症

熱中症といえば夏と思われるかもしれませんが、春にも起こりやすい症状のひとつです。春は日差しが強く、急激に気温が上昇することがあります。からだが気温の変化に慣れていないためそれほど暑くない日でも熱中症になってしまうのです。また春はのどの乾きを感じにくいため、いつのまにか水分不足になってしまいます。水分はこまめに補給しましょう。特に気をつけるべき場所は車内です。高齢者も暑さを感じにくい傾向にあるため注意が必要です。エアコンなどを上手に使用し、室内の温度調整に気をつけましょう。

 

・花粉症

スギやヒノキなどの花粉が原因でくしゃみや鼻水が出るつらい症状です。花粉症は一度発症してしまうと治りにくい症状です。発症しないためには飛散の時期の外出に気を付けたり、マスクやめがねの着用などでなるべく花粉を避けることが大事です。掃除をこまめに行ったり空気清浄機を活用したり、花粉を溜めないことに気をつけてください。生活習慣を見直して体質改善や免疫力を高めることも大切です。

 

春を健康に過ごすための対策法

・心のバランスを整えるには

多くの「変化」に対応するには、ストレスをうまく解消しながら過ごすことが重要です。そのためには休養をきちんと取ることが大切です。休日にも予定を詰め込みすぎず、のんびり過ごす時間も作るようにしてみましょう。音楽を聞いたり、ゆっくり湯船に浸かったり、自分なりのリラックス方法で心を落ち着かせましょう。また睡眠をしっかり取ることも重要です。深い眠りでは副交感神経が働き、自律神経のバランスが整います。就寝前に目元や首もとを蒸しタオルやアイマスクなどで温めると効果的です。なかなか眠れない場合は深呼吸をすると睡眠の質が高まります。

 

・からだを健康に保つには

からだを元気に保つには、疲労をすばやく回復させることが大事です。そのためには栄養バランスのよい食事を取ることが欠かせません。ビタミンやミネラルが豊富な野菜を積極的にとりましょう。なかでも旬のものは栄養も豊かで安く食べることができます。また春は寒暖差の大きい季節なので体温調節が必要です。「薄物の重ね着」を心がけ、脱ぎ着して調節できるようにしましょう。こまめにからだを動かすことも効果的です。運動をすると気分転換にもなり、自律神経のバランスを整えるセロトニンも分泌されます。散歩や階段を積極的に利用したり、就寝前にストレッチを行うなど日常生活のなかで運動できるよう工夫してみましょう。

 

・夏に向けての対策

さらに春のあとは暑い夏がやってきます。夏先は梅雨もあり気圧は不安定でじめじめと湿度が高く、こちらも体調に影響が出やすいときです。本格的な夏が来れば熱中症対策がさらに大切になります。エアコンをうまく活用し、湿度と温度をおさえたり、水分をしっかり取る習慣を身につけておきましょう。また暑い季節を健康に過ごせるよう、体力をつけておくことも大事です。そのためには栄養のある食物を食べ、睡眠をしっかり取るようにしましょう。

 

まとめ

冬から春にかけては、たくさんの変化があります。その変化を予想し予防を心がけましょう。なにより大切なことは、無理をせずしっかり食事と休養を取ることです。春は新しいことがたくさん始まります。わくわくすることもあるでしょう。春を楽しめるよう、しっかり予防をして体力をつけておきましょう。

 

<参考>

全国健康保険協会『春はメンタルの乱れに要注意!』

JA山梨 健康応援サイト『季節の変わり目にご注意を!~春の体調不良の予防と対策~』

病院なび『「春の病気」のお役立ち医療コラム』

埼玉県『春の熱中症にも注意しましょう』