日本全国に春が訪れ、平均気温もだんだん上がってきました。ぽかぽか陽気で過ごしやすい日々ですが、その先には夏の厳しい暑さが待ち受けています。2020年の夏は全国的に暑くなり、気温は平年並みからやや高めと予想されています。(※気象庁予想)今年も、真夏には厳しい暑さの日が多くなりそうです。夏の現場はとにかく暑さとの戦いになります。熱中症や日射病の予防のためにも、こまめな水分補給とともに、暑さを上手くやり過ごせるような装備を整えたいものです。そこで今回は、暑さ対策グッズの中でも近年注目を集め続けている「空調服™」をチェック。新しく画期的なグッズも生まれていますので、あわせてご紹介します。

 

空調服™の仕組みと購入方法

ファンユニットが付いている上着を見かける機会も増え、現場作業ではすっかり定着した感もある空調服™。その特徴的なファンユニットはただ風を送っているだけではありません。改めて、空調服™の仕組みについて紹介します。

人間の肉体は、体温が上がるとそれを脳が検知して必要な分量の汗を排出します。水分は蒸発するときに周囲の熱を吸収する性質がありますので、汗にもまた蒸発する際に熱を吸収して体温を下げる効果があります。汗の蒸発によって体温を下げるという人体の生理冷却システムを利用し、汗の蒸発を促進することによって速やかに体温を下げる、それがまさに空調服™の特性です。

空調服™は、ファンユニットから服の中に空気を取り込みます。取り込まれた空気は服と体の間を平行に流れ、空気にあてられた汗は瞬時に蒸発していき、それによって体を急速に冷やすことができます。服の中を通った暖かく湿った空気は、襟元と袖口から速やかに排出されますので、服の内側に熱がこもることはありません。

空調服™には特徴的なファンユニットが二基搭載されていて、バッテリー(または電池ボックス)によってこのファンユニットを動作させています。空調服™の内側にはバッテリーの専用ポケットがあるので、そちらにバッテリーを収納して使用します。ファンユニットは軽量かつコンパクトサイズであり、脱着が可能ですのでウェアを洗濯する際などには簡単に取り外すことができます。

では、空調服™を実際に購入するにあたっては、どのような事に気をつければよいでしょうか。

空調服™を初めて購入する際には、お好みのウェアを選んだ上で、一緒にファン・ケーブル・バッテリーのセットを購入するのが良いでしょう。長時間利用に適したモデルであれば「空調服™スターターキット」、ハイパワーで風量の大きいモデルであれば「空調服™パワーファンスターターキット」がありますので、お好みでセットを選んでみてください。もちろん、セット販売ではなく個別に購入することもできますので、こだわりのある方は各パーツを選んで組み合わせてみるのも良いでしょう。

また、リモコンでファンユニットの操作ができる「FAN FIT空調服™」というモデルもあります。リモコンを使いたい場合は、FAN FIT空調服™用のバッテリーセットである「FF SET」を購入の上で、お好みのファンと「コントローラー対応」の表示がされているウェアを選んでお使いください。

従来の空調服™よりスリムなフォルムを実現した『FAN FIT 空調服™』

 

空調服™にはどんな種類がある?

様々なモデルが発売されている空調服™。デザインも洗練され、現場作業のみならず普段使いに向けたカジュアルなモデルも続々とラインナップされています。ここでは、空調服™にはどんなモデルがあるのかを業種やシチュエーション別にご紹介します。

 

・建設業の方向けおすすめモデル

建設作業には土木工事や内装工事など様々な作業があり、そのどれもがハードな作業です。体を動かす機会が多く、体温も上がりがちですので熱中症対策をしっかりしなければなりません。そんな建設業の現場で、空調服™は熱中症対策に最適な装備として多大な支持を得ています。加えて、その涼しさによる作業効率向上にも大きな効果を上げています。建設作業では危険も多いため、丈夫な素材かつ長袖のモデルが適しているでしょう。また、ハーネスを付けて高所作業をする方のためにハーネス対応タイプの空調服™もあります。

オススメモデル:綿・ポリ混紡横ファン空調服™ KU92030、綿・ポリ混紡フルハーネス仕様脇下マチ付き空調服™ KU91930

綿・ポリ混紡横ファン空調服™ KU92030

綿・ポリ混紡フルハーネス仕様脇下マチ付き空調服™ KU91930

 

・製造業の方向けおすすめモデル

夏場の工場内で行う製造作業は、過酷な暑さを放っておくと集中力の低下からミスが起こってしまいがちです。涼しく過ごせるよう環境を整えたいところですが、クーラーのみに頼っては莫大な電気代がかかってしまいます。その点、空調服™は初期費用の後の電気代が安く、節約やエコの面でも注目を浴びています。空調服™で節約しながら作業効率をアップさせましょう! 製造業の方には、放電によって製品に影響を与えないような『帯電防止素材』の表示がされているモデルがオススメです。

おすすめモデル:JIS T 8118 綿・ポリ混紡制電空調服™ KU91710、綿・ポリ混紡空調™つなぎ服 1-9820

JIS T 8118 綿・ポリ混紡制電空調服™ KU91710

綿・ポリ混紡空調™つなぎ服 1-9820

 

・農作業の方向けおすすめモデル

農作業では屋外作業やビニールハウス内作業が多いため紫外線・赤外線にさらされやすく、衣服内の温度が上昇しやすい環境です。また、屈んで行う作業が多いために首元に直射日光を受けてしまうことが多く、それが熱中症や熱射病にかかる大きな原因のひとつとなっています。空調服™はファンユニットから外気を取り入れ首元から風を抜けさせることで、首元の体温を下げる効果もあり、熱中症対策に最適ですね。胴体部分も、直射日光や紫外線を通しにくい「チタン加工」や「遮熱素材」のものがオススメです。

おすすめモデル:屋外作業用空調服™ KU90720、タチエリチタン肩当有  NSP 半袖空調服™ ND111

屋外作業用空調服™ KU90720

タチエリチタン肩当有  NSP 半袖空調服™ ND111

 

・配送業の方向けおすすめモデル

配達業は重たい荷物を持ったり、走ったりする機会も多く、とにかく体を使って動くことが多い業種です。軽い着心地で動きやすく、さらに空調服™の効果で涼しく快適なモデルを選びたいですね。空調服™は、軽量でスポーティなモデルももちろん取り揃えています。性別問わず着用できるようなデザインで、普段使いしても違和感がないようなモデルもありますのでぜひ一度チェックしてみてください。

おすすめモデル:ポリエステル製半袖空調服™ KU91720、ポリエステル製空調™ベスト KU91830

ポリエステル製半袖空調服™ KU91720

ポリエステル製空調™ベスト KU91830

 

・オフの日のアウトドア向けおすすめモデル

真夏の太陽の下で楽しむアウトドアは、夏のレジャーの王道ですよね。空調服™があれば、片手が塞がるようなウチワは必要なし! 両手は常に空けておくことができ、熱中症対策もできて一石二鳥です。空調服™を着込んで、今年の夏を思いっきり楽しみましょう! レジャーイベントを快適に過ごすためにのニューモデル「AIR GEAR™」は、街中で着ていても違和感のないスタイリッシュさが魅力です。

おすすめモデル:スタンドカラーブルゾン AR12003、アウトドアベスト AR22001

スタンドカラーブルゾン AR12003

アウトドアベスト AR22001

 

JUST COOLってなに?

2020年の夏に向けて株式会社 空調服が開発した画期的なウェアラブル冷却装置、それが「JUST COOL™」です。JUST COOL™は、ファンから取り込んだ空気をミストにより加湿して背中と衣服の間に流し、汗の代わりにミストの気化熱をつかって体を冷却してくれる装置です。ミストがいわば汗の代わりをすることにより、ファンのみでの冷却よりも更に効率よく、かつ効果的に体を冷やしてくれる画期的なグッズとなっています。

JUST COOL™は、東京都立産業技術研究センターにて冷却効果の試験を受けています。室温39℃湿度50%の環境下で、服とからだの間に温湿度センサーを入れて作動時の冷却効果を測定し、サーモカメラでモデルの体表面温度差の変化を観察しました。試験結果は、衣服の外部温度は39℃のままで、衣服の内部温度は30~31℃でした。上記の実験により、およそ-9℃の冷却効果が実証されています。

サーモカメラで体表面温度差の変化を観察した様子

JUST COOL™のサイズは手の広サイズより少し大きいくらい。重さは336gと軽量で、持ち運んでアウトドアでの使用に最適です。本体にはベルトに装着するためのグリップが備わっており、ズボンのベルトにグリップを挟んで装着する構造となっています。従来の空調服™のように、専用のウェアやズボンを用意する必要はありません。ベルトが装着できない服を着ているときでも、専用腰ひもを使ってJUST COOL™を装着することができます。

操作は、専用アプリをダウンロードすればスマートフォンをリモコン代わりにして操作が可能です(Bluetooth接続の必要あり)。背面のボタンによる直接操作も可能となっています。電源は、単三電池4本で稼働します。外部電源コネクター(USB Type C)が付いていますので、充電池を使用すればこちらで充電が可能となっています。

JUST COOL™は、地球温暖化によって年々暑くなっていく日本の夏において、スタンダードになる可能性も十分考えられる画期的な冷却装置です。近い将来、腰元にJUST COOL™を下げている人を、現場や街中でたくさん見かける日が来るかもしれませんね。

まとめ

空調服™は年々進化を続け、日本の夏と現場を変えてきました。2020年は、JUST COOL™という革新的なグッズも生み出しており、今後の展開が気になるところです。熱中症対策グッズのトップランナーとして、空調服™の今後についても要チェックです。

 

参考

株式会社空調服『空調服™2020年 総合カタログ』