仕事や生活上の疲れがなかなかとれないことはありませんか。しかしそれだけを理由に病院を受診したとしても病気のように明確な原因があるわけではなく、なかなか回復まで至りません。そもそも疲れとはどのようにしておこるのでしょう。そして疲れを取るために有効な休息方法はどのようなものがあるのかみていきましょう。

 

肉体疲労と脳疲労って何?

「疲れる」とは、過剰な活動によって疲弊し病気になる前に休ませようとするからだのサインです。疲れを無視して働き続けると、過労やうつ、ヒューマンエラーによる事故など様々な弊害が起きかねません。疲れることで病気や事故を防ごうとしている重要な症状なのです。

「疲れ」には大きく分けて2種類あります。

ひとつはからだの疲労、運動などによる「肉体疲労」。もうひとつは精神的、神経的な疲れによる「脳疲労」があります。

 

・肉体疲労

肉体疲労の主な原因は筋肉を動かすためのエネルギー不足と疲労物質の蓄積です。よく筋トレをすると「乳酸がたまる」などといいますが、この乳酸が疲労物質のひとつです。糖質が分解されてエネルギーとなるのですが、その際に乳酸も発生します。筋肉は酸性に弱いので乳酸が多くなると十分働けなくなるのです。それがだるさや筋肉の張りといった「疲れ」の症状としてあらわれます。

ずっと立ち仕事をしたりデスクワークなどで同じ姿勢で居続けると、一部の筋肉ばかり緊張してそこに乳酸がたまります。ほとんど動いていないのに疲れてしまうのはこれが理由のひとつです。

 

・脳疲労

脳疲労とは、一言で言えば脳の働きが低下してしまった状態をいいます。人間は脳の働きによって、からだの状態をコントロールしていますが、その機能が落ち、調整ができなくなってしまうという状態です。強いストレスにさらされ続けることで、脳内の処理活動が増大して活性酸素が発生し脳は酸化ストレスにさらされます。それにより本来の調整機能が維持できなくなり自律神経などに異常をおこしてしまうのです。例えば夜中に目が覚めてしまったり、味覚がおかしくなり食事が美味しく感じられないなど、様々な誤作動がおこってしまいます。

また、からだが重かったりだるくなっているときは、肉体疲労と思いがちですが、自律神経中枢の疲れが原因であることも多くあります。からだを休めるだけではなかなか疲れが取れない原因のひとつは、脳疲労の可能性があるといえるでしょう。

ストレスの原因になるものとは?

疲労の原因となるもの、それはズバリ、ストレスです。ストレスをためこみ常にストレスがある状態では休まるものも休まりません。しかしストレスと一言で言っても、ストレスとはいったいどのようなものでしょう。原因となるものをみていきましょう。

 

医学的にストレスとは「外部から刺激を受けたときに生じる歪みや緊張状態」のことをいいます。例えば天候や騒音などの環境的要因、病気などの身体的要因、不安や悩みといった心理的要因、そして人間関係などの社会的要因があげられます。

また、ストレスと聞くとつらいことやいやなことを連想しがちですが、転職や結婚といった喜ばしいと思えることも、環境の変化という刺激となりストレスに繋がることがあります。

ストレスの原因として一番にあげられるものは「人間関係」です。職場、プライベートを問わずひととのやりとりに常に神経を使っており、相手のあることですから自分の思い通りにならないことも多く、強いストレスを感じることが多いのです。

任された仕事の責任や、納期が厳しいなど仕事に関するストレスを感じるひとも多くいます。残業が多かったり、休日が満足に取れなかったり不定期であったりなど無理をして睡眠不足になることも。また逆に仕事にやりがいを感じない、やる気が起きないという心理面からストレスになることもあるようです。

さらに近年とくに脳疲労につながるとされているのは「寝る前のスマホ」です。

パソコンやスマートフォンなどを操作するときは、画面とキーボードに絶えず視線を走らせ、目の中の水晶体を調整する筋肉が疲労します。また画面を見続けることで、情報やブルーライトの刺激を受け続けることになるので、とくに寝る前は脳が休まらず入眠の妨げになります。慢性的な睡眠不足につながったり、脳疲労の原因になります。

 

耐ストレスを高める休憩・休息の方法

疲労を取るには当然、休むことが一番です。では短い時間でストレスを解消するにはどのような方法があるでしょうか。

 

・スマートフォンを見ない

先にも示した通り、スマホを見ていては目と脳を休ませることができません。人間は情報の80%を視覚から得ています。情報を遮断して脳をリラックスさせましょう。遠くの緑を見たり、目薬をさしたり、しばらく目を閉じるだけでも脳は休息することができます。

 

・からだを適度に動かす

激しい運動をしたあとなどはもちろんゆっくり体を休めることが大事ですが、デスクワークや一日同じ姿勢で仕事をしたときなどはからだの筋肉が凝り固まり、疲労が蓄積されています。ストレッチなどで筋肉をほぐし、動かしていなかった筋肉も刺激しましょう。深呼吸をすることも、脳に酸素を供給するので効果的です。

また、座っているときに猫背などになっていませんか。姿勢が悪いと血流が滞り疲れがたまりやすくなってしまいます。正しい姿勢をとるように心がけましょう。

 

・仮眠を取る

疲労を回復するには睡眠が一番。一日7時間はしっかり眠りましょう。しかし仕事が忙しかったりなかなか寝付けなかったりと睡眠不足になることもあります。そのようなときは、日中に仮眠をとると効果的です。自律神経が副交感神経優位に変わるためリラックス効果もあり、目覚めたあとはスッキリとします。ただし脳が深く眠ってしまうと逆効果なので15分前後の短い時間で起きるようにしましょう。

 

・食べるものに気を使う

バランスのよい食事は疲労回復の基本。けれど時間がなく栄養が偏ったり不規則な時間に食べてしまうこともあります。そのようなときは食べるものに気を使いましょう。

さらに食事を取るときは時間をかけよくかんで食べるとよいでしょう。食べ物の消化吸収はリラックスしている状態のときによりスムーズに行われます。早食いをすると胃腸が休まらず消化不良をおこすこともあります。

 

  • 脳によい食べ物…大豆、ピーナッツなど(レシチン)、青魚(DHA)
  • からだの疲れをとる食べ物…豚肉、レバー、枝豆、キノコ類(ビタミンB1)
  • 代謝を助ける食べ物…ししゃも、納豆、小松菜(ビタミンB2)

 

また脳が直接栄養とするブドウ糖をとったり、集中力を高めるテオプロミンを含むカカオが多いチョコレートを、休憩時間に食べたりするのもよいでしょう。

 

まとめ

現代社会において、ストレスは常にそばにあり原因もひとつとは限りません。疲労をためこまないことは病気や怪我を防ぐためにも大切なことです。最近疲れているな、と感じたらゆっくりお風呂につかったり、食事を気を付けたりと自分なりのストレス解消法を見つけ、リフレッシュしてまた仕事に向き合えるようにしましょう。

 

 

<参考>

-公益財団法人 世田谷区保険センター「あなたの疲れの原因は?疲労の正体を見極めよう!」

WOMAN SMART『すべての疲れは「脳の疲れ」 脳疲労をためない新習慣』

オフラボ