今年も冬が近づき本格的に寒さが厳しくなってきました。風邪や病気にならないためにも防寒対策は大切です。しかし、しっかり防寒しているつもりでも手先が冷えてしまったり、寒気を覚えたりすることもあります。そもそもどんなときにひとは寒さを感じるのでしょうか。寒さのメカニズムについて詳しく知ることで、より効率よく防寒することができます。それでは寒さとはなにか、その当たり前の感覚に改めて目を向けてみましょう。

 

寒くなる理由とは

それではひとが寒いと感じてしまう原因はなんでしょうか。まず大前提として人間は恒温動物であることを理解するのが大事です。恒温動物とは一定の体温を保って生きる動物のことで哺乳類や鳥類の多くがそうです。人間は、個人差はありますが36.5度前後で体温が安定することで活動が可能になる生き物なのです。けれども気温が下がると外気によって体温が低下していきます。その状態で長時間いるとどんどん体温も下がり続け、生命活動を行うために必要な体温を保てなくなってしまいます。つまり寒いと感じることは体を危険にさらさないための防衛本能であり、体からの危険信号といえる反応なのです。

では、どういったことが原因でひとは寒さを感じるのでしょう。

 

・外気

外気の温度が低いと皮膚から熱が奪われていきます。体温と外気の温度差が大きいと体内の熱量よりも奪われる熱の量のほうが大きくなるため、体の温度がどんどん下がり寒いと感じるのです。また人間の体は体温を一定に保つために汗をかいたり血液の流れる量を調節したりしています。長い間、寒い外気にさらされていると手先が冷たくなることがありますが、これは血管を細くして血液量を減らすことで皮膚表面の温度を低くする代わりに、体内の熱を外に逃がさないように調節しているのです。

 

・風

同じ気温でも風に当たると途端に寒く感じます。風により皮膚に接している体の熱で暖められた空気が吹き飛ばされてしまい、皮膚に直接冷たい空気が当たることで寒く感じるのです。風が強ければ強いほど奪われる表面の熱が増えるのでさらに寒く感じます。一般的に風速が1m増すごとに体感温度が1℃下がるといわれています。実際の温度と違い、体が直接感じる温度を「体感温度」といいます。気温が10℃あっても風速10mの風に当たると体感温度は0℃になってしまうのです。

 

・湿度

冬場は空気が乾燥します。湿度が低いと、汗をかいた自覚がなくとも皮膚から汗が蒸発しやすくなります。汗が蒸発する際、気化熱として熱を奪っていくので体温が低下しやすくなってしまいます。同じ気温でも湿度が高い方が体感温度として暖かく感じるのは、汗が蒸発しにくいためなのです。冬でも室内は湿度が40~50%ある状態が快適な環境といわれています。

 

・感じ方の違い

例えば北海道出身のひとが寒さに強かったり、逆に沖縄出身のひとは寒さに弱かったりということがありますね。北海道出身者は寒さに慣れているということ、つまりひとは寒さに慣れる性質があるということです。そのため出身地や生活環境により寒さの感じ方は様々です。また年齢や体型によっても大きな違いが出ます。一般的に皮下脂肪の多いひとは寒さを感じにくいといわれています。皮下脂肪は熱伝導効率が高くないため体内の熱を放出しにくいためです。また筋肉量が多いひとも熱を作りやすいため寒さに強いことが多いです。年齢では、高齢になり基礎代謝が落ちると体内で熱を作りにくくなるため寒さを感じやすくなります。

さらに冷え方も様々です。末端が冷えるひとや内臓が冷えるひとなどタイプにより冷えやすい場所が異なります。こちらの記事で詳しくまとめているので、ぜひ参照ください。

自分にあった方法で温めよう! ツラい「冷え」の原因とその対策

自分に合った方法で温めよう! ツラい「冷え」の原因とその対策

このように同じ気温の中にいても寒さの感じ方は個人差があります。自分の冷えタイプにあった方法で温めることが大事です。

 

防寒で重要なポイントは?

寒さの仕組みを理解したところで、では効率のよい防寒とはどのようなものでしょうか。それは「断熱」と「保温」に気をつけることです。断熱とは体を熱が伝わりにくい素材で覆い、冷たい外気に触れず熱を逃がしにくくすること。保温とはその体温を保つことです。例えば保温性の高いセーターの上から断熱効果の高いジャンパーなどを羽織るなど、このふたつに気をつけて防寒すると高い効果が得られます。

 

・暖めるべき部位

さらに効率的に体を温めるのに効率的な箇所があります。それは「首」「おなか」「腰」「太もも」です。首周りは体の中で一番寒さを感じ、体温が逃げやすい部位です。また太い血管があるため首を温めることで全身を効率よく温めることができます。おなかは内臓を温めることで、体内の熱をあげることができます。腰も下半身の神経や血管が集中しています。さらに太ももにも太い血管が通っており、下半身の血流のポンプの役割があるため温めて血流をよくすることで全身を温めることができるのです。

 

・重ね着

防寒対策で一番に思いつく方法が重ね着ではないでしょうか。せっかく防寒服を着ても1 枚だけでは寒かったり十分に暖かくないことがあります。そんなときは先ほどの「断熱」と「保温」に注意して服を選んでみるようにしましょう。肌に触れるインナーは保温性や発熱性のあるものを選ぶとよいでしょう。綿素材のものは水分を吸収しやすく乾きにくいため、汗をかくときに着ていると体温が奪われやすいので注意が必要です。その上に保温性の高いセーターやダウンジャケットといった、暖かい空気をためて逃がさない服を重ねるようにしましょう。

 

・防風

外での運動や現場仕事などでは、重ね着して着ぶくれていては動きづらいですよね。そんなときなるべく薄くても効率のよく防寒するには「防風」と「保温」が重要です。風に当たると体感温度が下がり寒さを感じるのは先述の通り。しっかり保温をして、せっかく温まった空気を逃がさないように防風性の高い服を着ることで着ぶくれずに防寒ができます。また普段の重ね着の上にも、外出する際など外気に触れるときはさらに上から防風に優れたコートなど着るとよいでしょう。

 

・汗対策

現場の作業は体を動かしますのでたくさん汗をかきます。防風のためにダウンジャケットなどを着込んでいた場合、汗をかいても蒸発せず中で蒸れてしまいます。さらに汗が冷えて寒くなってしまうなどせっかくの防寒が逆効果になりかねません。そのため汗を吸う吸水性と蒸れない通湿性のよさを備えたインナーなどを着るようにしましょう。もちろん汗をかいたらこまめに拭くことも大事ですし、可能であれば着替えることもよいでしょう。

 

・開放性

上記でも記したとおり、防寒では風を防ぐことは大事ですが通気性がよくないと服の中が蒸れてしまうことがあります。また防寒だけを目的にしていると着ぶくれて動きにくくなったり、タートルネックで首周りがかゆくなったりと着ていても不快になってしまうこともあります。せっかく暖かくなっても着心地が悪ければ意味がありません。自分の肌にあった素材を身につけることや、通湿性のよい素材で蒸れない工夫をすることも大事です。

 

寒い日も現場を快適にする厳選防寒グッズ

ここからはこれからの季節に特におすすめの防寒グッズを紹介していきましょう。

 

【耳】ギグアント 肉厚ボア イヤーマフ

内側のボアが暖かさ抜群のイヤーマフ。首の後ろから装着するタイプなので髪型を崩さず帽子との併用も可。ヘルメットもつけることが可能なので、現場によっては作業中にもおすすめ。通気孔つきで蒸れにくく音も聞こえやすいので安心です。

 

【首】トライバル マイクロボアBIGボタンネックウォーマー

マイクロボアが暖かく肌触りもふわふわ。デザインも豊富で男女とも使いやすく、ボタンがついているので帽子をかぶっていても着け外し可能。コンパクトになるので持ち運びにも便利です。

 

【インナー】ユニクロ ヒートテッククルーネックT

いわずと知れたユニクロの「ヒートテック」。薄くて暖かいので冬場のインナーとしては定番です。価格帯もお手頃なので無理なく数枚購入することもできるのが魅力です。

 

【タイツ】ホットコットン ロングタイツ

体にフィットしてストレッチ性があるので動きを妨げません。裏起毛で暖かく肌触りも抜群。現場作業にもおすすめです。

 

【上着】NANGA ナンガ スーパー ライト ダウン ジャケット

防水性にすぐれ、軽量なのでアウトドアにも最適。胸ポケットがついているため機能性もあり、仕事着にも使えます。

 

【手袋】テスタバ スマホ手袋

手袋をするとスマートフォンを使えないのがネックですが、これはデザイン性もあるスマホ手袋です。どの指でもタッチパネル操作ができるので暖かいまま外でも楽々スマホ操作が可能です。

 

【靴下】HEAT TREK SOCKS 先丸靴下4足組

耐久性があり、高い保温性があるため足先が冷えにくい靴下です。丈夫で大きいため現場作業でも安心して履いていけます。

 

【ルームシューズ】桐灰化学 足の冷えない不思議なスリッパ

底面に突起がついており滑りにくい素材。断熱多層構造により熱を中に保ち足首まで保温してくれます。汚れても洗濯が可能なので繰り返し使用できます。

 

まとめ

寒い時期になると外に出るのが億劫になってしまいます。しかし防寒のコツを理解し、しっかり寒さ対策することで快適に過ごすことができるようになります。ついつい動きが鈍くなる冬ですが、活動的に過ごせるよう防寒対策を学びましょう。

 

 

<参考>

寒さ対策応援団「ブルブル!ひとはなぜ寒さを感じるのか」

make a wish「体を温めるのに効果的な部位とは?」

ワークユニフォーム「防寒服を一番暖かく着る方法、知っていますか? 」