夏の運転は意外と大変です。車内が暑くなって熱中症になってしまうこともあります。仕事などで日常的に車を利用する方はもちろん、久しぶりに運転するひとも、事故には気を付けたいところです。夏場の運転ではどのようなことに気をつければよいか見ていきましょう。

 

1年を通じて運転で気をつけるポイントは違う!

運転には常日頃気をつけているから大丈夫、と思うかもしれませんが、実は交通事故の起きやすい時期というものがあります。それは「なにが原因」で「どんな時期」なのか、季節別に見ていきましょう。季節ごとに気をつけるとよい点が見えてきます。

 

・春は油断しがちな季節

春の交通事故に多い傾向は、子供、新入生などに関わるケースです。

入学シーズンである4月は通学がはじめての小学1年生や、新たに自転車通学を始める中学生、高校生が増える時期です。まだ通いなれてない子供たちによる急な飛び出し、はみ出しなどが考えられます。通学路になっている道路や学校付近では特に子供に注意しながら運転することが大切です。

一番注意が必要な時期は5月以降です。小学生の交通事故件数のピークは5月から7月にかけてなのです。これは、この頃子供たちが通学になれ、油断につながり事故に巻き込まれることが多くなると見られています。朝夕の登下校時刻は特に、できるだけスピードを落として運転しましょう。

 

・夏は雨が事故をまねく

平成25年度の警視庁の統計によると、交通事故が最も多いのは12月で58,711件、次いで7月が55,270件となっています。夏は交通事故の発生件数が多くなる時期なのです。

7月に交通事故が多い理由としては、夏休みに入り交通量が増加することのほか、雨による影響が大きいと考えられます。7月初旬は梅雨の時期です。雨による視界の悪化や、雨音による音の遮断により交通事故の危険性が高まります。ウインカー点灯など早めに行い、周囲のドライバーへの意思表示もしっかりすることが大切です。また、水のたまった路面には、タイヤと道路の接地面に水が入り込みタイヤが滑ってしまう「ハイドロプレーニング現象」が起きやすくなり、スリップする車も多くなります。雨の降り始めは特に注意が必要です。車間距離を取り、カーブは特に滑りやすくなるためスピードを落として走行するなど気をつけたいところです。

また雨が降っているときは歩行者も傘で視界が塞がれていたり、足元に注意して歩いていることが多いため、注意力が散漫になっています。歩行者の側を通るときはより注意が必要です。

梅雨の時期だけでなく、夏は台風やゲリラ豪雨、夕立など、天候の急変の多い時期です。急な視界不良も起こりやすいのでライトを早めにつけるなど注意して走行しましょう。

 

・秋は視認性が下がる

10月から年末にかけても交通事故が増える時期です。秋は日没時間が早くなり、周囲があっという間に暗くなります。夏場の感覚を引きずってついライトの点灯が遅れると周囲の視認性がとても悪くなってしまいます。そして日没時間の夕方は、学校や会社からの帰宅、夕飯の買い物などで歩行者や自転車の交通量が増える時間帯です。早めのライト点灯を心がけましょう。

 

・冬は凍結に注意!

冬はもっとも交通事故の件数が増える季節です。12月は年末年始の帰省もあり、交通量が増え普段運転しないひとも運転する機会が増える時期であるのが要因のひとつです。冬の交通事故の最大の原因は、路面の凍結や雪によるスリップです。薄く雪が積もっている程度でもすべる可能性が高くなりますので、スピードは落として走行しましょう。特に、橋や坂道など風が通る道は凍結しやすいので注意が必要です。スタッドレスタイヤやチェーンの装着は、天気予報を見て早めに行いましょう。

見逃しがちなところでは、靴底の雪です。靴底に雪がついたまま運転し、ブレーキを踏もうとしたら滑って交通事故に繋がるというケースもありますので、運転する前はしっかり雪は落としましょう。

 

夏場に事故をおこさないための鍵は「体調管理」

夏場は冬に次いで事故の多い季節ですが、ではどんなことに気をつけて運転するのがよいでしょうか。

雨の視界不良やスリップによる危険はお伝えした通りですが、ドライバー自身の体調によっても交通事故のリスクはあがります。

暑い日は熱中症や夏バテに注意が必要です。暑い日に車を運転する際は当然エアコンを効かせますね。しかし、外との温度差が大きくなってしまいます。温度差のあるところを行き来するとそれによって身体に負担がかかり疲れが出ます。疲れることにより、注意力が散漫になり事故へ結び付きやすくなるのです。特に夜間の走行に注意しましょう。夜間は、日中にくらべ交通事故の発生する割合が2.5倍にもなります。

さらにエアコンの効いた中に長時間いることによる「かくれ脱水症状」にも注意が必要です。長時間のドライブで、尿意をおさえるために水分補給を控えめにしていると、エアコンによる車内乾燥でいつの間にか脱水状態になっていることがあるのです。

 

日差しが強い夏場は、直射日光を浴びるだけでも疲れてしまいます。運転時にサングラスをかけているひともいるかと思いますが、これも注意が必要です。紫外線をしっかりカットできていないサングラスをかけると、目に入る光が減るので瞳孔は広がります。広がった瞳孔に紫外線が入ると余計に目は疲れてしまうのです。また、色の濃いレンズのサングラスはトンネルなど暗いところに入ったときに視界が暗くなりすぎてしまい、周囲がよく見えなくなるという危険もあります。

 

夏場の運転、事故をおこさないための対策方法

それでは、事故をおこさないためにはどんなことに気を付ければよいでしょう。

 

・運転時の姿勢

正しい運転姿勢を保って運転しましょう。ドライバーは長時間同じ姿勢に固定されることでいっそう強い疲労を感じます。シートの位置や背もたれ、ヘッドレストなどを自分の体格に合わせ無理のない姿勢で運転できるようにしましょう。また楽だからと必要以上に背もたれを倒したりすると疲れが生じやすくなるだけでなく、飛び出しなどとっさの時に正しく反応できないことがあります。正しい姿勢にすることで長時間安定した運転を行いましょう。

 

・休憩、水分補給

こまめな休憩をはさんで、無理をせず運転しましょう。長時間のドライブでも1時間に1回は15分以上の休息を取り、休憩時以外でもこまめに水分補給をこころがけましょう。食事休憩は長めに取り、30分ほど昼寝をすると効果的です。30分以上の仮眠はかえって運転中に眠気を誘う可能性がありますので注意しましょう。

 

・日差し対策

断熱ガラスを使用していない車にはウィンドウフィルムを張るなども効果的です。ただし、フロントガラスと運転席、助手席のサイドガラスにカラーフィルムを張ることは違法ですので注意しましょう。透過率70%以上の透明フィルムなら大丈夫です。またサングラスをかける場合もUVカットのもので、レンズの色味があまり強くないものを選びましょう。

 

・冷却グッズの活用

機能性の高い冷却グッズを使うことで、エアコンに頼りすぎず身体を冷やすことができます。ミニ扇風機をつければ効率的にエアコンの風を車内に循環してくれます。車載用に売られているものはクリップ式で簡単に設置できます。また首もとにまく冷却タオルやジェルシートなどを身につけたり、シートの背もたれに設置するクールエアカーシートもあります。背中やおしりなどシートに接して暑くなる部分を冷やすことで蒸れを防止し、快適に運転をすることができます。

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まとめ

夏場の運転は暑さでイライラしたりどうしても疲れがたまりやすく、注意力が散漫になってしまいます。それによって起こる交通事故を未然に防ぐため「自分は大丈夫」と思わずに、ストレスのかからない、疲れのたまらない運転をこころがけましょう。

 

<参考>

やよい共同法律事務所「交通事故の多い時期・季節ごとの安全運転」

シンク出版「夏の疲れが運転に与える影響を考えましょう」

名古屋高速「夏の安全・安心・快適な運転のために」

SSD研究所「夏場の運転の疲れ対策」

安全ドライブ大学「安全運転コラム」