労働人口の減少を背景に、女性を“現場”でみかけるシーンも増えていますが、ポジティブな理由で女性を採用している企業はまだまだ多くありません。また、女性側からしても、“現場”仕事をする企業の受け入れ体制などに不安を抱え、なかなか就業、入職しようと手を挙げづらい状況にあるようです。そこで今回は主な女性支援制度について解説。女性、企業双方にメリットのある新しい現“現場”仕事のあり方について探ってみたいと想います。

 

 

出産、育児をする女性をバックアップする制度とは?

 

まずは、“現場”で働く女性がどんな支援制度を受給できるのか。その代表的ななものとして産休についてご説明します。

 

【出産に関して労働基準法で規定されているもの】

 

産前産後休業

 

産休とは大きく「産前休暇」と「産後休暇」のことを指し、どのような雇用形態でも、子供を産む女性なら誰でも取得できる休暇です。取得労働基準法 第65錠第1項 第2項のなかで、産前は6週間(多胎妊娠の場合は14週間 *いずれも女性が請求した場合に限る)、産後は8週間女性を就業させることはできないと記されています。なお、休業期間中は、下記の支給対象となります。

 

  • 出産手当金

休業期間は1日あたり標準報酬日額の2/3を乗じた金額を受け取れる

  • 出産育児一時金

一時金として42万円が支給される

 

▽産前休暇と産後休暇の違い

 

産前休暇は本人の請求(請求の仕方は会社の定めによる)により与えられるものに対して、産後休暇は、本人の請求の有無に関係なく与えられなければならないものです。言い換えれば、産後休暇は本人が就業を希望しても、与えられなければならない強制休暇なのです。

 

【出産・育児に関して育児・介護休業法で規定されているもの】

 

1 育児休業

子供が1歳になる前日まで、男女関係なく取得できる制度。2009年の育児介護休業法改正時に制定された「パパ・ママ育休プラス制度」を活用すれば、父と母がずらして休業することで、最大で子供が1歳2かつきになるまで育児休業期間を延長できます。

育児休業中、企業には給料を支払う義務はないものの、雇用保険から育児休業給付金が支給されます。

さらに、保育所に空きがなく子供の預け先がみつからないケースなどでは、最長で2年まで休業期間を延長できる可能性があります。

 

2 短時間勤務

 

育児、または介護の場合は1日の勤務時間を短縮できます。育児の場合は1日の労働時間は6時間以下で、短時間勤務ができないときはフレックスタイムや時差出勤が認められます。

 

3 看護休暇・介護休暇

 

子供の病気やけがの看護、予防接種や健康診断をうけさせるために取得できる休暇です。子供1人に対して年5日が付与されます。

 

電子政府の総合窓口 E-Gov 「労働基準法 第65条」

 

 

 

厚生労働大臣の認定を取得し、社内外の信頼度を高める

 

女性活躍推進法についてご存知でしょうか?2016年4月より施行され、正式名称は「女性の職業生活における活動の躍進に関する法律」といいます。簡単に言えば、女性が仕事で活躍すること、雇用主である企業などが推進することを義務付けた法律となります。

 

こちらの法律の対象は常時雇用している労働者が300人以上であること(ただし、300人未満の企業も努力義務とされています)。

 

対象企業は下記3点を義務付けられています。

 

  • 自社の女性活躍に関する状況の把握と、課題の分析をすること
  • 行動計画の策定、社内周知と外部への公表
  • 行動計画を策定した旨を労働局へ届け出ること

 

義務を怠ったことによる罰則規則はないものの、企業が届け出た情報が女性の活躍推進企業データベースで、誰でも閲覧できるため、対象でありながら届け出をしていない場合、企業イメージを損なうリスクがあります。

 

具体的に言えば「行動計画」の届け出が求められるわけですが、“女性の活躍推進に関する取り組みの状況が良好”と評価された企業は、厚生労働大臣から「えるぼし」認定を受けられます。

 

この「えるぼし」に認定されることで、下記のメリットが享受できると考えられます。

 

  • 国が行う公共調達の際に加点評価され、有利になる
  • えるぼしマークを自社商品などに印刷することができる
  • 企業イメージの向上から、女性をはじめ優秀な人材を採用しやすくなる

 

えるぼしに認定してもらうには、相応の準備が必要ですが、公共調達の際の加点評価や、優秀な人材を採用しやすくなるなどの短期的なメリットのほか、労働人口の減少により、ジャンルを問わず優秀な人材の確保が求められるこれからの時代を迎えるにあたって、企業の成長という点においても大きなプラスに働くはずです。

 

厚生労働省 女性活躍推進法に基づく認定企業(えるぼし認定企業)が公共調達で有利になります!

 

 

企業を成長させていくためには女性の視点は不可欠

 

建設現場などを中心に、「体力面で女性は不利」という考えから採用を抑えがちという声を聞きますが、一見、重労働に思えるこれらの業界も重労働なのは一部の職種に限られており、技術や能力があれば腕力が問われない仕事も多いはず。

 

一方でコミュニケーション能力に長ける女性が、現場にいることで現場が円滑に回るというケースも少なくないようです。また、女性ならではの細やかなデザインセンスや生活者視点が造園業やリフォーム業などで生かされている例も増えているようです。

 

支援絵制度を正しく理解し、うまく活用することで女性にも、企業にも双方にメリットのある体制を構築し、企業の成長につなげてみてください。

 

<参照>

 

厚生労働省 女性活躍推進法特集ページ

 

内閣府男女共同参画局 女性活躍推進法