梅雨も明け、本格的な夏がやってきました。夏の現場作業は体力的に最もつらい季節。しっかりと休憩をとり、都度回復していきたいですよね。しかし現場によって休憩のとり方は様々です。ルールもあるようでないような。いったいどのような休憩のとり方が望ましいのか見ていきましょう。

 

作業に休憩が必須な理由とは

効率的な作業には休憩が必要と言われても、集中して作業しているときに休憩が入るとかえって作業が進まない気がしてしまいます。休憩などとらずにキリのいいところまで一気に作業してしまいたいと思うひともいるかもしれません。ではなぜ休憩が必要なのでしょうか。

 

・事故防止

工事や建築現場の作業では常に危険と隣り合わせです。そのため常に緊張し、集中して作業しなくてはなりません。集中して作業を行うことはとても神経を使います。それは体に大変な負荷がかかります。特に夏場は、体は熱をためこんでしまいます。そして疲れがたまると集中がきれ、ヒューマンエラーがおこります。疲れは作業中のミス、ひいては大きな事故につながりかねません。休憩をとり、都度リセットすることで集中を切らさずに作業を行うことが大切なのです。

 

・健康管理

夏場の現場で一番警戒が必要なのは、熱中症です。人間は、喉が乾いたと感じるときはすでに体内の水分2%が失われています。そのまま汗をかき続けて体内の水分を3~4%失ってしまうと、食欲不振や体のだるさを感じはじめ、5%以上の水分を失うと、呼吸困難やけいれん状態に陥ってしまいます。涼しい場所で適度に休憩をとり、水分補給をすることは、熱中症対策としてとても重要です。

 

・生産性向上

先にも言った通り集中して作業をし続けることは、大変神経を使います。休憩をとらずに仕事をし続ければ、半日程度であっという間に疲れはててしまうことでしょう。かといって、休憩をとると集中力が途切れ生産性が低下してしまうと考えるひともいるかもしれません。もちろんだらだらと時間を無為にすごすのはよくありませんが、いったん行っている作業から離れリフレッシュする行為は、結果としてまったく休憩をとらないよりも確実に生産性があがります。作業効率を考えた上でも、休憩をとることは利にかなっているのです。

 

・法令対策

労働基準法では、34条1項において、労働時間が6時間から8時間以内の場合には45分、8時間を超える場合には1時間の休憩時間を与えるよう義務付けられています。主に食事休憩として1時間まとまった休憩をとることが多いですが、食事時に当たらなくとも、上記の労働時間であれば必ず休憩をとらねばなりません。逆に言えば、労働時間が6時間以内の場合は休憩時間を設けずとも法律には違反しません。しかし多くの場合15分程度の小休憩が設けられています。また、トイレへ行くといった短時間だけ仕事を離れる場合は休憩時間には含まれません。

 

休憩のとりかたは色々曖昧?

労働基準法で定めている休憩時間は、全労働者に一斉にまとめて与えるのが原則です。しかし、運輸交通業や、商業、サービス業など交代で休憩をとらないと仕事に支障が出る場合は一斉に休憩をとらなくともよいとされています。また、時間を分割して与えることも法律上は禁止されていません。1時間の休憩のうち、45分と15分に分けて別々の時間に与えられることもあるようです。

 

小休憩については、法律の定めもないのでさらに曖昧です。主な工事現場の休憩時間は8~17時の勤務時間内で、12時から1時間の食事休憩、10時と15時に30分の小休憩、というものをよく見かけますが、これもあくまで一斉に休憩をとれる現場の一例です。1時間ごとに10分とるところもありますし、休憩時間は15分だったり20分だったりまちまちです。

また、過ごしやすい季節と夏の暑い時期では体力の消耗度も変わりますから、必然的に夏場は休憩が多くなることがあります。熱中症対策として、こまめに休憩と水分補給をするように、と言われることが増えてきます。しかし、「こまめ」とはどのくらいの頻度のことか、現場やひとによってバラバラなのが現状です。

 

明確な休憩基準をつくるポイント

ではどの程度休憩をとるのが望ましいのでしょうか。基準をつくるには何を目安にするとよいのか見ていきましょう。

 

・時間間隔

ひとはもともと、集中力を長時間持続させるのが苦手です。一般的には最長でも90分、平均的には1時間前後、と言われています。つまり、集中してずっと仕事をし続けるのは、人間の構造的にも難しいのです。

工事現場などでよくある休憩時間は先に示した通り、10時と15時に30分の小休憩、12時に1時間の食事休憩でした。これは実は、利にかなった時間といえます。1時間半~2時間に一度の休憩は、集中がきれるころに脳を一度リセットし、再び集中力を高めることができるのです。

 

・WBGT値

暑さ指数(WBGT)は熱中症を予防することを目的に提案された指標で、「湿度」「気温」「輻射熱、風」の状況を測定し熱中症になりやすい危険度を把握することができます。

WBGT計は設置型だけでなく携帯用のものもあるので、作業中でも邪魔にならずに測定できます。危険度が高いとアラームなどでおしえてくれる機能がついているものもあるので、活用するとよいでしょう。

危険度が高いときは、特に休憩が必須です。1時間に一度10分程、日陰やエアコンの効いている室内にいき、体を冷やすことが望ましいでしょう。

 

・補給水分&ミネラル量

熱中症対策としては涼しい場所にいくだけではなく、同時に水分と塩分も補給するようにしましょう。夏場の現場作業では大量に汗をかき、気づかないうちに水分不足に陥る可能性があります。そのため、喉が乾いた、と思う前に水分を補給することが大事です。さらに汗でミネラルも流出していますので、塩飴やタブレットなどを用意し、水分と同じように補給することが大事です。熱中症の危険度が高い日は、休憩とは別に30分に一度程度、水分とミネラルの補給をすることが望ましいでしょう。

 

まとめ

夏場の現場作業は体力的にもきついですが、休憩をうまくとることで疲れを残さず集中して作業をすることができます。作業を効率よく終わらせるためにも、休憩を有効的に使いましょう。また熱中症は本人も気づかぬうちに症状が進んでしまうことがあります。自分は大丈夫だと過信せず、しっかり休憩で体も休めることが大事です。

 

参考

ジョブマガジン「工場勤務の休憩時間は法律による定めがある?安心して働くために」

Parts「集中力が持続しない!『休憩』で作業を区切ろう【長時間の無理はNG】」

今日も無事にただいま『熱中症対策にある「こまめ」に休憩の、「こまめ」って、どれくらい?』