熱中症対策のアイテムとして注目が集まる「空調服」。このアイテムが真夏でも涼感を得られる土台には“生理クーラー理論”という技術があります。さて、このあまり耳にしない“生理クーラー理論”とはいったいどんなものなのか。冷えすぎることなく、さらには真夏の大敵となる汗臭や汗疹を抑える効果も期待できるという“生理クーラー理論”について紐解いていきたいと思います。

 

株式会社空調服 市ヶ谷 弘司会長が生み出した“生理クーラー理論”

オリジナルの「空調服」を製造する株式会社空調服の紹介ページを読むと、要所で“生理クーラー理論”という言葉を目にします。どうやらこの“生理クーラー理論”が、真夏でも「空調服」が涼感を実現するためのキモとなっているようですが、この“生理クーラー理論”とはいったいどんな内容なのでしょうか。

その原理に触れる前に、まずはこの原理の生みの親と、生まれた背景などについて説明したいと思います。

まず“生理クーラー理論”ですが、株式会社空調服の現会長にして、株式会社セフト研究所の社長である市ヶ谷弘司氏が提唱した理論となります。「空調服」に欠かせない“生理クーラー理論”ですが、はじめに理論ありきではなく、「空調服」の開発工程のなかでより良い製品を生み出そうと考えていた際に、“思いついたもの”とされています。

もともと市ヶ谷弘司氏が、空調服の原案を着装したのが1998年、そこから6年がかりで形にしたわけですが、その当時は宇宙服や脳低体温療法用のブランケットと同じく水冷式だったそうです。しかし、よりローコストで効率良く涼感を得るためにはどうすれば良いかと考え、空冷式に変更。その際に採用された仕組みに“生理クーラー理論”が生かされているのです。

 

<原理> 電源ファンで汗を効率的に蒸発させ、身体から気化熱を奪う

生まれた背景が明らかになったところで、いよいよ “生理クーラー理論”の原理について紹介します。

“生理クーラー理論”を端的に説明すれば、人体から発する汗を電動のファンが生み出した風で効果的に蒸発させることで、身体の熱を奪う(気化熱)という仕組みになります。

この理論と「空調服」の関係性をより良く理解するために、少し人体の仕組みについても触れてみたいと思います。

人間には体表面温度が上がり過ぎないよう発汗し、汗の気化熱によりた表面温度を下げ、最適温度に保とうとする為の機能が備わっています。より具体的に言えば、皮膚温が最適とされる33度より上昇した場合に、体温調整中枢の指示により発汗量を増加させ、汗が蒸発する際の気化熱により目標温度(33度)に近づけます。これが市ヶ谷氏の定義する“生理クーラー理論”となります。

しかし、真夏に汗をかいても涼しくならないというご経験もあると思いますが、人間の身体は生理クーラー理論”が無効になっている状態もあります。つまり、発汗量が多い場合や、湿度が高い場合はせっかくかいた汗が蒸発できず、液状のまま垂れ落ちるような状態では目標とする冷却効果が得られなくなるのです。

そこで重要となるのが「空調服」に備わっている電動ファンです。身体に対して平行に風を流すことで汗が蒸発しやすくなります。これにより、気化熱を奪って目標体温を保とうとする“生理クーラー”が有効となるわけです。

これが空調服の仕組みとなります。

 

<効果>発汗を利用するからこそ、冷え過ぎず、各々の求める最適な温度を保てる

電動ファンそのものから冷たい風が出て、直接肌、身体を冷やすというよりは、汗が蒸発する際の気化熱で目標温度を保とうとする「空調服」の仕組みは、涼感を得られるだけでなく、その他のメリットも生みます。

例えば、「暑い」や「涼しい」は人それぞれ基準が異なります。これは身体的な個性などが影響を及ぼしているわけですが、「空調服」の場合、着用者の体温変化などに作用するため、クーラーで部屋全体を冷やすケースなどとは異なり「冷えすぎ」や「(冷えずに)暑い」といったことがありません。

加えて、汗を蒸発させるという特徴から言えば、汗臭を抑え、汗疹など汗を原因とする皮膚病の恐れが軽減します。加えて、発汗は体力の消耗につながりますが、無駄な発汗がなくなれば体力の消耗も最小限にできます。

暑さ=夏の屋外と考えがちですが、空調設備がない(設置できない)屋内の作業においても、「空調服」の“自分だけを快適な温度に保てる”特徴は効果を発揮できるといえるでしょう。逆に言えば、空調服の着用でクーラーなどを抑えられれば、1か月のランニングコストは1人あたり空調服の電気代(充電式ニッケル水素 乾電池を用いた場合で約20円*)で抑えられます。

いかがでしたでしょうか。
“生理クーラー理論”を知ることで、「空調服」は単に涼感を得られるという効果だけでなく、汗による被害、ランニングコストも抑えられるというメリットも理解できたと思います。仕組みを知ることでより製品に興味がわく。製品や理論についてより詳しく知りたい方は、空調服のホームページで情報を収集してみてください。

なお、この記事を読んで空調服に興味を持った方は、下記の参照サイトもあわせてご確認ください。

 

株式会社 空調服ホームページ

「現場を快適にする「空調服」が地球温暖化防止活動環境大臣表彰を受賞」

「熱中症を防ぐ「空調服」を支える技術 “生理クーラー理論”とは」

暑さ対策で効果てきめんの空調服が地球環境を救う?

類似品に注意! オリジナルの空調服にはどんなタイプがあるの?

 

*500Kcalタイプで1日10時間着用した場合

*本内容は記述時点で入手している情報をもとに執筆された原稿であるため、その内容の実現や確約、正当性をお約束する趣旨のものではありません。あらかじめご了承ください。

参照、引用元(*元まとめの箇所)
株式会社 空調服