今年の夏は例年以上の記録的な猛暑となっています。外出の際は強烈な日差しに晒されるので、しっかりと対策しておかないと体力に自信のある方でも夏バテや熱中症になりかねません。

このような体調不良を引き起こす原因の一つとされるのが紫外線です。太陽光に含まれる紫外線は人体にさまざまな影響を及ぼします。紫外線とはいったい何なのか、気をつけないとどうなってしまうのか。紫外線について学ぶとともに、有効な対策について考えていきたいと思います。

 

紫外線の基礎知識? 波長によって異なる人体への影響

紫外線とは、太陽光に含まれている「目に見えない光」の一部を指します。太陽の光を分けると「赤外線」「可視光線」「紫外線」に分けられます。紫外線は、その中で最も波長の短い光で、波長によってUVA、UVB、UVCにわかれます。UVCはオゾン層で吸収されるため、地表に届くのは主にUVAとUVBになります。

 

紫外線の種類とその性質
UVA

肌に急激な障害を与える作用は弱い。

太陽から届く紫外線の約90%を占めており、肌に蓄積的なダメージを与える。

メラニン色素を酸化させ、肌を黒くさせる作用がある。

UVB

太陽から届く紫外線の約10%。

肌への作用が強いため、肌が赤くなり痛くなるサンバーン(日やけによる炎症反応)を引き起こす。

炎症やしみの原因となるほか、肌表面の表皮細胞やDNAを傷つけるなど、生体への影響力が強い。

UVC

強い殺菌作用があり、生体に対する破壊性が最も強い。

オゾン層で吸収されるが、オゾン層が破壊されると地表に到達する。

参考

KOSE『紫外線の基礎知識』 

 

 油断禁物! 紫外線は体へこんな影響を与えている

 

紫外線が人体に与える影響は本当に多種多様です。デメリットばかりが取り沙汰されますが、メリットもあります。

◇デメリット
・疲労
・皮膚への影響(日焼け・サンバーン・皮膚癌)
・目への影響(白内障・翼状片)

◇メリット
・ビタミンDの生成
・体内時計の正常化

 

◇デメリット

日差しが強い日に散歩やドライブをしたらドッと疲れが出てしまった、といった経験はありませんか? 太陽からの紫外線を浴びすぎてしまうと、皮膚の免疫を担う細胞が弱ってしまい、免疫力が落ちてしまいます。

また、身体は紫外線に反応して「活性酸素」を発生させます。活性酸素は免疫機能の一部として、身体に侵入してきた細菌やウイルスを退治してくれるのですが、活性酸素が増え過ぎてしまうと正常な細胞まで攻撃してしまい、その結果としてシミ・ソバカスができたり、疲労物質が身体の中に溜まってしまう結果となります。疲労の原因は免疫機能の低下と活性酸素の暴走のせいなのです。

皮膚への影響はさらに多岐に渡ります。肌が黒くなる「日焼け」は、皮膚が紫外線から身を護るための防御反応です。黒褐色のメラニン色素を肌内部に作って紫外線から身を守ります。通常であれば肌の新陳代謝によって皮膚の色はもとに戻っていくのですが、あまりにも紫外線を浴びすぎてしまうと皮膚を守りきれず、シミ・ソバカス・シワ・たるみなどの原因となってしまいます。

日差しを浴びすぎて皮膚が赤くなり、火傷のようになってしまう「サンバーン」は、皮膚の細胞が紫外線によって破壊された結果おこるものです。皮膚は破壊された細胞を回復させるために毛細血管を膨張させるので、赤くなって見えるのです。
さらに恐ろしい事に、紫外線は細胞のDNAにも傷をつけ「皮膚癌」の原因にもなります。細胞はDNAの傷を修復しますが、長年にわたって繰り返し傷つけられているうちに、傷の直し間違いが発生して突然変異が起きることがあります。突然変異するDNAがたまたまガンの発生に関わる遺伝子であった場合、その細胞は増殖して癌になってしまう事があるのです。即座に癌になってしまうリスクが高いわけではありませんが、長期的目線でも紫外線対策はしておいて損はないでしょう。

また、紫外線は目にも悪影響を与えます。その代表的なものが「白内障」です。白内障は、眼球のレンズにあたる水晶体が、紫外線によって濁ってしまい、正常に光を感じることができなくなる病気です。白内障の他にも、近年注意を促されている目の病気に翼状片(よくじょうへん)という病気があります。角膜の異変によって黒目の端に白い塊が発生し、徐々に大きくなっていくことで視力低下がおこる、というものです。こちらも紫外線が大きく影響していると言われています。

 

◇メリット

様々なデメリットを紹介しましたが、紫外線にはメリットもあります。その一つが、人間にとって必要不可欠な「ビタミンDの生成」です。人間の身体は、日光浴をする事でビタミンDを生成する機能を持っています。ビタミンDは、体内のカルシウムの利用効率を高める働きを持っており、主に骨の形成や代謝に大きく影響しています。ビタミンDが不足すると、子供であれば「くる病」、大人は「骨軟化症」や「骨粗鬆症」といった骨の病気が発生してしまいます。充分に日光浴をしていれば、食物などから摂取するビタミンDが多少足りなくてもビタミンD欠乏症にはならないと言われていますので、適切に日光浴することはとても大切なことであると言えます。

また、厳密に言えば紫外線のメリットではないのですが、太陽光のような明るい光に当たる事は「体内時計の正常化」に大きく寄与しています。体内時計は、睡眠の質や疲労、成長ホルモンの分泌や免疫機能にも密接に関わっていますので、健康を維持する上では朝日に当たる事を意識すると良いでしょう。

参考

ケアクル『紫外線を浴びるだけで疲労が溜まる!? 紫外線による疲労の解消法!』

紫外線のメリットを正しく知ろう!

 

 

具体的に紫外線はどのように対策すれば良いのか?

紫外線にはいくつものデメリットが有り、甘く見ていると大変な事になってしまうかもしれません。日常的に対策を行って、デメリットを最小限にできるよう気をつけたいものです。さて、具体的な対策としてはどのようなものがあるでしょうか。

・活性酸素除去酵素を食事で補う
食事や生活の習慣を見直す事で、身体の内側から紫外線対策をする方法があります。身体は紫外線に反応して「活性酸素」を作り出しますが、活性酸素は暴走すると疲労や皮膚の老化の原因となってしまいます。そのため、身体は活性酸素の役目が終わったら除去できるよう「活性酸素除去酵素」を作りだすのですが、加齢とともにこの酵素の生成は衰えてしまう事がわかっています。

ただ、「活性酸素除去酵素」の生成を助ける栄養素を含む食品を摂取する事で、活性酸素対策となります。例としては以下の食材などが当該の栄養素を含むものにあたります。

「活性酸素除去酵素」の生成を助ける栄養素を含む食品

食べ物:栄養素

・全粒粉のパンや玄米など ⇒ ビタミンE
・サーモングリルや焼き鳥のレバー ⇒ たん白質や鉄分、ビタミンA、ビタミンB
・緑黄色野菜、アーモンド ⇒ ビタミンEやβカロテン
・旬のフルーツ ⇒ ビタミンC
・赤ワイン ⇒ ポリフェノール

参考

エディトゥール『実は食事だけでも!? 40男の紫外線対策』

・日焼け止めの使用
紫外線のダメージは基本的に皮膚へのダメージですので、皮膚を直接コーティングする日焼け止めの使用はとても効果的です。

紫外線を防ぐ指標となるのが「SPF/PA値」です。SPFはUVB、PAはUVAを防ぐ指標となります。SPFは10~50の数値で表され、PAは+〜4+(フォープラス)の4段階で表されます。SPFとPAは高ければ良いというわけではなく、生活シーンによって選ぶのが良いとされています。高SPF/PA値の日焼け止めは肌への刺激も強いと言われていますが、野外などの現場で働くのであればSPF値40以上の日焼け止めを使用すると良いでしょう。

・オススメ

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・長袖の衣服着用
紫外線によるダメージを防ぐには長袖の服を着ることが一番効果的ですが、真夏の野外の現場作業ではどうしても暑さが勝ってしまい、腕まくりをしてしまったり、紫外線対策を第一にとは中々いかないものです。長袖を着用しながら涼しく過ごす、という難しい問題を解決できるアイテムに「空調服」というものがあります。空調服は、長袖のブルゾンジャケットについている電動式ファンによってブルゾン内へ空気を入れることで涼しく過ごすことができる作業着です。

・オススメ

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・帽子やサングラスの着用
紫外線は目にもダメージを与えますので、ツバの広い帽子やサングラスなどで眼を紫外線から守ることも大切です。現在のUVカットサングラスはレンズが透明なものも数多くあり、普通の眼鏡と同じように使用することができます。眼鏡をかけている方は、UVカットレンズに切り替えると、紫外線から常に眼をガードすることができるので、オススメです。

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まとめ

紫外線は目に見えるものではありませんし、直ちに健康に影響が出るものではありませんが、長期間浴び続けることで老化や病気のリスクがどんどん増えていく厄介なものです。幸いにして対策技術も日進月歩で進化していますから、きちんと対策する事で紫外線に対処することが可能です。日差しの激しい季節、紫外線で余計に消耗しない為にもしっかりと対策し、皮膚も体も健康を保っていきましょう。